小説を書き終わってから、いやむしろ書いている最中にこそ取り組んでほしい、それが表紙の作成。くじけそうなとき、きっとあなたの心を奮い立たせてくれるから———。
こんにちは!未都聖子です。この連載『Kindle初出版の手引き』では、電子書籍は読む専門だった私が自作小説を出版した経験をもとに、Kindle出版の方法をご紹介します。
今回は第2回ということで、「小説の顔・超重要な表紙はKeynoteやPowerPointでカンタン作成 」について解説します。
それでは、スタート!
Kindleの表紙についての基礎知識
Kindleで小説を出版するためには、小説の顔となる表紙が必要です。
KDP(Kindle Direct Publishing)で使用できるファイル形式やサイズ、推奨される寸法など、作成前に確認しておきましょう。
ファイル形式
Kindleの表紙として使用できるファイルは、以下の2種類です。
・JPEG(JPEG/JPG)
・TIFF(TIF/TIFF)
寸法
Kindleの表紙としてKDPで推奨されている寸法は、下記の通りです。
・寸法比 縦:横 = 1.6:1
・最小サイズ 縦 × 横 = 1,000 × 625 ピクセル
・最大サイズ 縦 × 横 = 10,000 × 10,000 ピクセル
・理想的な寸法 縦 × 横 = 2,560 × 1,600 ピクセル
最小サイズは決められていますが、高解像度の端末でも綺麗に表示させたいのであれば、縦は最低2,500ピクセル必要です。
KDPで推奨する“理想的な寸法”に合わせて作成すれば良いでしょう。
ファイルサイズ
指定されているファイルサイズと注意点は、下記の通りです。
・50MB未満
・圧縮しないこと
・72 ドット/インチ (dpi) 以上を推奨
表紙画像は、Webや端末で表示される際に圧縮されます。品質の悪化を防ぐため、元のファイルは圧縮せずにアップロードしましょう。
KeynoteでのKindle表紙作成
WindowsユーザーならPowerPoint、MacユーザーならKeynoteで、簡単に表紙を作成できます。
私、未都聖子はKeynoteで作成したため、Keynoteでの表紙作成方法をご紹介します。
スライドサイズの調整
Keynoteを開くと、デフォルトで横長のスライドが表示されます。Kindleの表紙は縦長なので、スライドを表紙のサイズに合わせましょう。
Kenote画面右上の『書類』を選択し、『スライドのサイズ』で『カスタムのスライドサイズ』を選択します。
先に述べた通り、表紙の理想的な寸法は縦 × 横 = 2,560 × 1,600 ピクセルですので、サイズの欄に幅『1,600』、高さ『2,560』と入力し、『OK』を選択します。
単位は“ピクセル”ではなく“pt”となっていますが、細かいことは気にせずに。
……というのは冗談で、1ptより1ピクセルの方が少し大きいので、品質的にはまったく問題ありません。
幅1,600pt、高さ2,560ptにしておけば、KDPで推奨する“理想的な寸法”より、少し大きいものができあがる、ということです。
ファイルサイズはやや大きくなりますが、まあ、細かいことは気にせずに。
画像の挿入と編集
スライドが縦長になったら、画像を挿入、編集していきます。
これまで特に言及しておりませんでしたが、ここでは、元になる画像を背景として表紙を作成する方法をご紹介します。
それゆえ、ご自身で撮影・作成した画像や、信頼できるところから取得した画像を、パソコン内に準備しておいてください。
スライド上の「編集エリア」と書かれたテキストエリアは削除しておきましょう。
上方にある『メディア』をクリック、『選択』を選び、画像を指定します。
画像が挿入されたら、『サイズ』の欄に数値を入力するか、画像の縁にある白い四角をクリックしながら拡大して、好みの大きさにします。
縦いっぱいにしたいなら、高さをスライドサイズと同じ2,560に。
画像をダブルクリックすると、トリミングができます。が、トリミングはしなくても良いです。
わざわざトリミングしなくても、スライドから画像ファイルに書き出す際、スライドからはみ出す部分は自動的に切り取られるためです。
トリミングする場合、画像の縁にある黒い四角をクリックしながら調整します。
思わぬ余白ができないよう、スライドよりやや大きめにしておくのがオススメです。
タイトルの入力
画像の調整が終わったら、タイトルなどの文字情報を入力します。
上方の『テキスト』をクリックすると、ひっそりとテキストボックスが現れます。
文字を入力し、右側の『テキスト』タブ内にあるフォントやサイズ、色などを調整します。
『スタイル』タブで影を付けるなどして仕上げます。
画像ファイルの書き出し
表紙画像が出来上がったら、画像ファイルとして書き出します。
Keynoteのウインドウではなく、パソコン画面の一番上にあるメニューバーから操作します。
『ファイル』→『書き出す』→『イメージ』と選択し、
フォーマットは『JPEG(高品質)』を選び、『次へ』をクリックします。
ファイル名は「cover.jpg」としておきましょう。epubに変換するためにでんでんコンバーターを利用する際、表紙として認識させるためです。
JPEG形式の表紙画像ができました。
表紙を作る方法いろいろ
以上、KeynoteでKindleの表紙を作成する方法を解説しました。
その他、表紙を作る方法をいくつかご紹介します。
スマホで作るなら『Canva』(無料)
『Canva』というアプリを使うと、数多くのテンプレートやフォントを利用して、オシャレな表紙を簡単に作ることができます。
テンプレートをほぼ流用したものですが、たとえばこのような表紙ができます。
人と差をつけたいなら『ココナラ』(有料)
表紙を作るのが得意な人にお願いするものひとつの手です。
『ココナラ』というサイトでは、1,000円程度から表紙の作成を依頼することができます。
たくさんの方が出品しており、サンプル画像も見られるので、予算や自分の好みに応じて選ぶことができます。
表紙らしい表紙なら『いーブックデザイン』(無料)
『いーブックデザイン』は、テンプレートを選び、文字情報を入力することで、簡単に表紙を作ることができる無料サービスです。
最終更新は2016年ですが、利用できます。
まとめ
Kindleの表紙を作成する方法を、Keynoteを利用する方法を中心にご紹介しました。
小説を書き終えてから、あるいは、ちょっと息抜きしたいとき、心がくじけそうになったとき、着手してみてはいかがでしょうか。
表紙があればグッと小説らしくなり、モチベーションにもなります。
次回は、小説のデータを電子書籍の形式に変換する方法をご紹介します。
あなたの執筆&Kindle出版のお役に立てますように!