
「とりあえずH-Comp挿しとけ」
そう言われる程、万能で有名なコンプレッサーWAVES H-Comp。
・音を目立たせたい
・音が馴染まない
・音作りが上手くいかない
・ナチュラルに音量を揃えたい
など、DTMerが抱えがちな悩みが、このコンプだけで解決出来るかもしれません。今回はアマチュアからプロまで愛用するH-Compの基本的な使い方からおすすめの活用法まで徹底解説します!
そもそもコンプとは?

コンプとはその名の通り音を圧縮(compression)するプラグインです。「圧縮=音量を下げる」とイメージして貰えれば十分です。
一見、音量を下げる事と音作りやミックスは関係なさそうですが、コンプレッサーは全体の音を下げるのではなく”ある一定の音量を超えた場合にのみ作動する“為、大きな音が圧縮される一方で小さな音はそのままの音量感を保ち、結果として全体の音量バランスが揃って聴こえやすくなったり、音質に影響を与えるのです。
H-Compとは
H-Compとは、WAVES社がリリースした代表的なコンプレッサーの一つです。基本的なミックスはもちろん、自然な仕上がりから、倍音を追加して豊かなサウンドまで、幅広い音作りにも対応できるのが特徴です。
GUI(見た目)はかなりアナログ感溢れるテイストで、パラメータもツマミで操作を行う為、実機の様に直感的に操作する事が可能です。
H-Compの強み・役立つ場面
先程も記述した通り、H-Compは元音に忠実に作用し自然に音を揃えることが出来る一方で、倍音成分を足しパンチのある音作りが出来る点が強みといえます。
具体的に例を挙げると、
・元音を保ったままダイナミクスを揃えたい時
・楽器のソロパートで音がしょぼく感じる時
といった場合に、特に真価を発揮します。
基本的な使用方法
正しい処理を最短で行う為に、各パラメーターの役割をそれぞれ解説していきます!
THRESHOLD

スレッショルドの値が圧縮を行う基準の音量となります。値を超えた音が圧縮対象となるため、ツマミを右に回す(値がマイナスになる)程、音が圧縮されます。中央のメーターはゲインリダクションと呼ばれ、どれだけ圧縮されたか視覚的に確認できます。
RATIO

圧縮する割合を定める値です。右に回すと数値が大きくなり、より強く圧縮されます。例えば値=4.00の場合は、スレッショルドを超えた元音から比較して1/4に圧縮されます。
ATTACK

スレッショルドを超えた音を圧縮「開始」するまでの時間です。圧縮「終了」するまでの時間ではないので注意してください。例えば、ガツンと前に音を出したい時にはツマミを右に回して(アタックタイムを遅くして)大きな音を残すことで目立たせる事ができます。逆に音の主張を抑えて馴染ませたい時には、左に回して(アタックタイムを早めて)全体的に音を均一にする事が出来ます。
RELEASE

スレッショルドを下回った音を圧縮「終了」するまでの時間です。リリースタイムが長ければ長いほど、その間も圧縮が行われます。本来、音は次第に減衰する物なので、リリースタイムが短すぎると急に圧縮が終了し、そこにギャップが生まれ不自然になる場合もあるので、慣れないうちはリリースタイムに余裕を持たせると良いでしょう。 H-Compにはリリースタイムのモードが3種類あります。
BPM:H COMP上で設定したテンポに合わせる
HOST:DAW上で設定したテンポに合わせる
MS:テンポに合わせず手動でタイムを設定する
デフォルトは「MS」となっており、リリースタイムは特に聴きながら調整することが多いので、基本的にはデフォルトのままの使用をおすすめします。
ANALOG

右にツマミを回す程、倍音成分を足す事ができます。音の色付け目的として使用するイメージです。控えめに色付けしたい場合は1や4がおすすめで、がっつり変化させたい場合は3がおすすめです。
PUNCH

設定したアタックタイムを無視して、アタックを感知した場合に圧縮を一時的に中断するパラメーターです。右にツマミを回す程、より明確にアタックを感じられます。特に初心者のうちはアタックを耳が理解しきれていない場合もあるので、この機能に頼ってみるのも良いでしょう。
MIX

元音とコンプ後の音をブレンドできるパラメーターです。どれだけ強めにコンプをかけたとしても、MIXの値がDRY0であれば音に変化はありません。基本的にはWET100の使用をおすすめします。MIXの最終段階でちょっとだけアタックが気になる場合や、アタックタイムやスレッショルド、レシオなど複数のツマミを変更するのが面倒な場合などに、MIXを少し下げてあげるだけで簡単に問題が解決できる場合があります。
OUTPUT

音量です。右に回す程大きくなりますが、上げすぎると音割れするので注意が必要です。
トラブルシューティング
- DAW上に小さなノイズが発生して、無音時にも消えずに気になる。
もしH-Compをインサートしているトラックがあれば、Analogのツマミが原因かもしれません。1、3は特に目立ってしまうので、気になる場合は他の番号に切り替えるかOFFにしましょう。
- アタックタイムを遅くしてるのにアタック感が出ない。
リリースタイムが長すぎると、圧縮が終了する前に次の音でスレッショルドの値を超えてしまい、アタック感が出ない場合があります。アタックの値だけでなく、リリースにも着目しましょう。
まとめ
H-Compは使いやすくポテンシャルも高いので、使い方を正しくマスター出来れば、簡単にあなたの音楽を一段階レベルアップさせてくれます。ぜひ今後のDTMライフにご活用ください!