前章では、音楽に使われる音の種類と、音の高さをどのように表すかを学びました。
今回は前章の続きに加え、音の長さと強弱の表し方についてご説明します。
第1章と第2章は、少なくとも楽譜に何が書いてあるかを理解するための、基本中の基本です。英語でいうと、アルファベットと主な単語の意味を理解するような位置付けです。
音楽を理解する第一歩として、しっかりと身につけましょう。
音の高さ その2
音部記号(おんぶきごう:ト音記号など)と五線を組み合わせたものを、譜表(ふひょう)といいます。
複数の音部記号をうまく組み合わせれば、広い音域の音を、比較的見やすい形で書くことができます。
木管楽器のように原則、単音しか出ない楽器や、和音は出せるものの離れた音を同時に弾けるような楽器には、ト音記号とヘ音記号の譜表をつないだ、下図のような大譜表(だいふひょう)を使用します。
音の名前
音の名前(音名)はおなじみですね。『ドレミファソラシド』です。
7つの高さの音を順に演奏していくと、その次は、最初の音と同じ名前の音になります。 分かりやすいト音記号でドから順番に音符を書くと、このようになります。
このドからドまでの単位を 1 オクターブといいます。左側のドの1オクターブ高い音が、右側のドです。
さて、ここまで音名を何の疑問もなく『ドレミ……』と呼んでいましたが、実はこの読み方はイタリア由来のものです(ちなみにフランスでもほぼ同じ読み方です)。
日本語では『ドレミファソラシド』=『ハニホヘトイロハ』となります。
今でも日本語読みは、調の名前や音部記号で使用されていますが(ハ長調、ト音記号など)、音名の読みとしては『ドレミ……』 の方が一般的ですので、こちらでもそのまま使用していきます。
ちなみに音楽を専門的に勉強していくと、ドイツ語の音名での表記が一般的になります。
また、英語では『CDEFGABC』です。こちらはギターなどのコードネームに使われています。
音の長さ
音符は音の高さだけでなく、長さも表します。『八分音符』を例に、音符の部位についてご説明します。
符頭(ふとう、たま)は丸の部分、符幹(ふかん、ぼう)は棒の部分です。符尾(ふび、はた)は符幹に付くしっぽで、八分音符より短い音符につきます。
ある音がどれだけの長さであるかを表すためには、音符の符頭や符幹、符尾を変化させます。
『四分音符』の長さを1とした場合、他の長さを表すための音符とその名前、長さを以下に記します。
音符の長さの基本となるのは四分音符ですが、名前で考えると全音符が基本となります。全音符の半分の長さが二分音符、4分の1の長さが四分音符……となっていますね。
次に、付点音符を覚えましょう。付点音符の長さは、付点のない音符の1.5倍です。 たとえば付点四分音符だと 1+0.5=1.5の長さになります。
下の図のように計算すると、わかりやすいでしょうか。
その他の音符については、たとえば下表のものがあります。
上の3種類を覚えておけば良いでしょう。さらに短い音符の付点も同様に考えて下さい。
曲の中には単純に 1 で割り切れない長さの音が出てくることもあります。たとえば四分音符を 3 つに分けたい場合には、三連符を使います。
下の図が計算式です。
他の音符も同じように分けられます。
また、下のように三連符内の音の長さを変えることもできます。
もちろん連符は三だけでなく、五連符、六連符、七連符、九連符なども可能です。
音の強さ
音の強さは強弱記号をつけて表します。ごく一般的に使われているものだけを紹介します。
上から下の順で強→弱となります。
強弱記号や表現記号(楽語)は主にイタリア語が用いられますが、特にイタリア語ということを意識せずに使っている方も多いと思いますし、それで構いません。
mp(メゾピアノ)などに使われる mはイタリア語で『mezzo』=半分という意味です(正確にはメッツォと発音します)。
メゾフォルテの場合はそのまま訳すと『フォルテの半分』となるので意味が通じます。
しかしメゾピアノだと『ピアノの半分』なのにピアノよりは強い、ということになるので、混乱してしまいますね。
ですから、メゾは半分というより『やや』と捉えましょう。
また、既成の楽語で表現できないような演奏をしてもらいたい時にまで、それをイタリア語で表現する必要はもちろんありません。英語でも日本語でも、相手に合わせて楽譜に書き入れれば良いのです。
まとめ
音楽に使われる『音』の種類と、それを五線譜で表す方法について、ざっとですが一通り学びました。
細かいところについては、今後出てくるたびに補完してご説明します。 次回はリズムの表し方について学んでいきましょう。