【はじめての楽典】第4章 『リズム』について知ろう②

音楽にとってリズムは欠かせない要素です。

中世のグレゴリオ聖歌のようにリズムが不明確なものや、リズムを敢えて排除しようと試みた実験音楽的なものは、もちろん音楽のカテゴリーとして存在するのですが、私たちが普段耳にする音楽には全てリズムが存在すると言ってよいでしょう。

リズムを刻むためには、拍子について知っておくべきだと前回述べました。

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今回は少し複雑な拍子を学びましょう。

目次

拍子の種類

2拍子や3拍子という種類分けもできますが、拍子はもう少し大きく3つのカテゴリーに分けられます。単純拍子複合拍子混合拍子です。

単純拍子

全ての拍子の基本となる拍子のことです。

前回説明したように人間の行動のうち歩行のリズムが2拍子となり、レクリエーションとして生まれた舞曲のリズムが3拍子となりました。

生活に密着したこの2つの拍子が単純拍子です。

4拍子もまた単純拍子の仲間です。

元々は2拍子×2であり、自然発生した拍子ではありませんが、2拍子ほどせわしなくはなく、音楽の表現に合っていることから非常に使用される拍子ということで、単純拍子のカテゴリーに分類されています。

複合拍子

同じ拍子がいくつか集まってひとまとまりの拍子となったものです。4拍子も本来なら複合拍子のカテゴリーですね。

4拍子が単純拍子枠に入ったので、現在複合拍子とされるのは、実際には3拍子をいくつか組み合わせた拍子だけとなっています。

3拍子×2=6拍子、3拍子×3=9拍子、3拍子×4=12拍子という感じです。後ほど詳しく説明します。

混合拍子

複合拍子と違い、違う拍子がいくつか組み合わさってひとつの拍子となったものです。

たとえば2拍子+3拍子で5拍子、3拍子+3拍子+2拍子で8拍子、といった具合です。民族音楽などでよく見かける拍子です。

もちろん純粋な5拍子や7拍子の曲も存在しますが、拍子のカテゴリーとしては混合拍子として扱います。変拍子ともいいます。

複合拍子

複合拍子の代表は8分の6拍子です。

八分音符3つからなる3拍子が2つ組になった形が1小節内に入ります。

ただし、拍子記号上は6拍子となりますが、実際には3拍子をひとまとまりの1拍と捉えてリズムをとるので、感覚としては2拍子です。

すなわち1拍が八分音符×3=付点四分音符となるのです。

少し面倒だと思うかもしれません。「どうせ2拍子なら4分の2拍子にして、四分音符を3つに分けて3連符で楽譜を書けばよいのでは?」という意見もあるでしょう。

しかしいちいち3連符や、場合によっては6連符が延々と続くのは、楽譜を見る方も書く方も面倒です。

また、気分的なものかもしれませんが3連符で分けられたリズムは連桁のせいか仮のものというイメージでとられ、本来の3つで1拍なのだというアピール力に欠けます。

いずれにせよ6拍子もまた、音楽のリズムとして必然性がありました。

どことなく行進曲風味の抜けない2拍子に、舞曲のリズムを取り入れることで、緩やかに流れるリズムにさせることができるのです。

実際の譜面を見てみましょう。下が拍です。

このメロディーのリズムは、音符の正味の長さだけでいうと、前回説明した4分の3拍子で使ったメロディーとだいたい同じです。

実際に拍を取って歌ってみると分かりますが、1拍を四分音符にするか付点四分音符にするかで、楽譜の見た目もリズムの流れも違ってきます。

3拍子でできた3拍子が9拍子です。

J.S.バッハの非常によく知られたオルガン曲『主よ、人の望みの喜びよ』の冒頭部分です。

9拍子でなければこのメロディーの流れは表現できないものだと思います。

混合拍子

5拍子や7拍子は私たちに馴染みのない拍子かもしれませんが、旧東欧のスラブ系音楽で はしばしば見受けられます。

有名なところではチャイコフスキーの交響曲第5番(悲愴)の第2楽章が5拍子です。

ジャズのスタンダードナンバーとなっている『Take Five』もその名の通り5拍子です。

また、5拍子や7拍子は、普通の4拍子など単純拍子の曲中に部分的にスパイスのように加え、独特の効果を出すこともできます。

ラテンのリズムを代表する8拍子も忘れてはいけません。

タンゴやサンバなど、楽譜上は4拍子で書かれていることが多いですが、実際には3+3+2や3+2+3のリズムになっています。

A.ピアソラの有名な『リベルタンゴ』は4分の4拍子で書かれていますが、リズムの配置を見ると、四分音符を1拍とするのではなく、八分音符を3+3+2組み合わせた8拍子となっています。

ちょうど下のようなリズムになります。

まとめ

今回は様々な種類の拍子について説明しました。拍子は曲のリズムの核となる大切なものです。

曲を書く時、五線にはまず音部記号を書いて音の位置を定め、そのすぐ右に拍子記号を入れます。

拍子を定めることが音の位置の次に大切なのだと意識してください。

なお、「4分の4拍子」「8分の9拍子」などと言いますが、算数の分数とは違います。

1小節に「四分音符が4つ」「八分音符が9つ」という意味です。

もちろん拍子記号を書く時に上下の数字の間に横線は要りません。ご注意ください。

>次回 第5章 さまざまな記号と楽語①休符と速度の表し方

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