【はじめての楽典】第7章 小節について

曲を拍子記号通りに区切った『小節』には、リズムを明確にし、楽譜を見やすくする役割もあります。

小節を区切る記号や、繰り返しの記号など、小節にまつわる約束事を学びましょう。

>前回の記事 【はじめての楽典】第6章 さまざまな記号と楽語②強弱記号と演奏方法

目次

はじめに

『小節』は曲を拍子記号通りに区切ったものであり、「17小節から20小節まで」のように、曲のある部分を示すための、いわば単位としての役割も果たしています。

小節と小節の間の区切りに使われるのが小節線です。

音楽では、小節線以外にもいろいろな役割を持つ縦線(じゅうせん)があります。一通り覚えておきましょう。

縦線の種類

小節線については、これまでも当たり前に出てきているので改めて説明するまでもありませんが、4分の4拍子の曲であれば、四分音符4つ分の長さ毎に区切るために引く縦線のことです。

小節線により4拍子というリズムが明確になり、楽譜が読みやすく、演奏もしやすくなります。

読みやすさだけを追求するのであれば、各小節の幅も同じであるのが理想ですが、全音符1つだけの小節と、十六分音符が16個入った小節を同じ幅で書くのはスペース的に無駄が生じます。

全体のバランスを考えてほどほどに整えましょう。

いわゆる記譜ソフトでは、上の例のように、ある程度小節内の音符数に応じて自動的に小節の幅が変わるようになっているものが多いです。

さて、縦線には単なる1本の線ではないものがあります。上記の①や②がそうですね。

①の2本線は『複縦線』といいます。

この例では拍子記号が変わる時に用いていますが、他にも調号が変わる時や、速度が極端に変化する時などにも用います。

要は曲想が変わる時、その区切りを明確にするために複縦線を使うのです。

ですから、拍子や調号が変わらなくても、「ここから曲の感じが明らかに変わる」ことを表すために複縦線を用いても構いません。

ただ、あまり頻繁に使用すると視覚的効果が薄れ、演奏者も注意しなくなってきます。過ぎたるは及ばざるが如し、です。

②は複縦線のうち、右側の線が太くなっているもので、『終止線』といいます。文字通り曲の最後、終わりを表示するための線です。

反復記号いろいろ

歌曲などのように、同じメロディーを何度も繰り返す曲の場合、反復記号を用います。

同じメロディーを延々書き続けるのは手間ですし、演奏する側も「ここは全く同じなのだな」と予め分かっておく方が譜読みの手間を省くことができ、便利です。

こちらが反復記号です。この記号で挟まれた小節を繰り返して演奏します。一番最初に戻る時は左側の反復記号は用いません。

ABCDABCDと演奏します。

ABCDCDと演奏します。

これだとABCBCDですね。

2小節目の小節線の左右に反復記号がついています。ABABCDCDという順番になります。

これは、1度目はCからAに戻り、2度目はCを飛ばしてDに行くという形です。ABCABDという順番で演奏します。

歌曲で、例えば歌詞が4番まであると、最初のカッコに「1.2.3.」と指示し、次のカッコに「4.」と指示します。

また、反復記号終止線を兼ねることがあります。


さて、曲の中には繰り返しをした後、本来の終止線までいかず、途中で曲を終えるというパターンもあるため、それを指示する記号が必要となります。

それがD.C.(ダ・カーポ)Fine(フィーネ)、そしてD.S.(ダル・セーニョ)です。


D.C.(dacapo)
「曲の頭から」という意味です。この記号がついていれば最初に戻り、二度目はFine(終わり)の記号まで演奏して曲を終えます。

ABCDABの順に演奏します。


D.S.(dalsegno)
直訳すると「セーニョ記号から」。転じて「セーニョ記号から演奏する」の意味です。

「S」を装飾したこちらの記号がセーニョ記号です。

D.S.まで来たらセーニョ記号のところに戻り、そこからFineまで演奏します。

ABCDBCと演奏します。

もしFine記号が見当たらなくても焦らなくて大丈夫です。小節線上にフェルマータの印があれば、それが「ここで終わり」の意味です。

フェルマータについては、こちらの記事でもご紹介しています。

【はじめての楽典】第6章 さまざまな記号と楽語②強弱記号と演奏方法 

演奏順は上と同じく、ABCDBCです。

こちらのCoda(コーダ:終結部)記号は、D.C.で最初に戻り、繰り返しの際はコーダ記号から次のコーダ記号まで飛ばし、終結部を演奏します。

『ToCoda』『Coda』と表すこともあります。

ABCADEと演奏します。

ABCDEABCFと演奏します。

強起と弱起

ある曲が拍子の1拍目、すなわち強拍から始まっていれば強起の曲、それ以外が弱起の曲です。

ただ、「強起の曲」という言い方はあまりしません。弱起という言葉に対応した言葉が一応存在するのだ、程度の認識で良いでしょう。

弱起はアウフタクト(Auftact)ともいいます。音楽用語はイタリア語が大半な中、なぜか日本ではこのドイツ語が一般的です。

直訳すると「上拍」。指揮者は1拍めに指揮棒を振り下ろしますが、その前に曲の始まりを予告するため一旦指揮棒を上げます。

弱起の場合、この上げた部分から曲が始まるため、正に「Auftact」となるのです(実際の弱起の曲では、指揮者はもちろんその前から予告します)。

弱起の曲は、最初の小節が本来の拍子分の長さを持ちません。また、曲の最後の小節が最初の弱起分の長さを引いた長さとなります。

この最初と最後の小節を『不完全小節』といいます。4分の4拍子で四分音符1拍分の弱起で始まる曲なら、最後の小節は四分音符3拍の長さにし、合せてちょうど1小節分の長さにするのです。

※印の小節がそれぞれ不完全小節です。

もっとも、最近の記譜では、弱起で始まったのに最後が完全小節で終わっているものもよく見受けられます。

まとめ

小節の種類や、小節に関係してくる用語は、正しい順番で演奏するためにある程度覚えなければなりません。特にD.C.D.S.は混同しやすいですね。

また、何ページもある曲を演奏する時など、これらの記号が出てきたら数ページ戻らならければならない場合もあるので、あらかじめどのように譜めくりをするかも考えておきましょう。

>次回 【はじめての楽典】第8章 複雑なリズム

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