【はじめての楽典】第12章 音階②

【はじめての楽典】第11回では、音程から音階へと進んできました。楽典のキモとも言える内容が続きます。

長音階の作り方については、しっかり理解できたでしょうか。今回は短音階について学びます。

短音階の仕組みについては、できれば実際の響きと共に覚えてほしいものです。

ピアノやキーボードがあれば、実際に音を出して確認しながら進みましょう。キーボードのアプリなどでも構いませんので、ぜひ音を聞いてみてくださいね。

目次

基本の短音階

2度の音程で「長・長・短」となる4音の形(テトラコード)を2つ、長2度で繋げたものが長音階でした。長音階はこのパターンしかありません。

一方、短音階にはいくつかの種類があります。しかも、どの種類の短音階も非常に重要なのです。

まずは、基本の短音階の形を覚えましょう。基本の短音階は「自然短音階」といいます。

幹音だけでできる派生音のない自然短音階は、ラから始まります。

イ調の自然短音階です。スラーで繋いだ2音間が短2度(半音)となっています。

音程は順に「長・短・長・長・短・長・長(すべて2度)」で、長音階のようなテトラコードは存在しません。したがって、8音の関係をそっくり覚えなければなりません。

シから始まるロ調の自然短音階を、同じようにして作ってみましょう。

長と短の関係を維持するためには、第2音と5音めに♯を付けて半音上げなければなりません。

ドの音から始まるハ調の自然短音階はこのようになります。

第3音、第6音、第7音を♭で半音下げます。どのような音から始まる自然短音階も同様にして作ることができます。

さて、長音階や短音階を作る際に、いちいち音程に応じて♯や♭を付けなければならないのは大変だと思われるかもしれませんが、ご安心ください。

音階の次に「調」が出てくるのですが、そこでこのような作業から解放されるからです。今はあくまでも、各音階の構成を理解するための説明です。

自然短音階においても、各音の名称と役割は長音階とほぼ同じです。ただし、第7音については「導音」という名称はありません。前回、各音の役割の説明の際、「導音と主音は短2度の音程でなければならない」と書きました。しかしご覧の通り、自然短音階の第7音と主音の音程は長2度です。

なぜ導音となるには短2度でなければならないのかを、言葉で説明するのは難しいものです。半音という響き的に、一番狭い音程関係にすることで、必然的に導音が主音へと勢いよく流れることができるから、というのが主な理由ですが、ピンとこないかもしれませんね。

実際に音階を弾いてみましょう。長音階を主音から順番に上へ弾いていくと、第7音を鳴らした時に、もう頭の中で次の音(1オクターブ上の主音)が思い浮かび、その音を弾いて落ち着きたくなりませんか?

そして実際に弾いてみると、音階として「まとまった」という感じがすると思います。

一方、自然短音階を同じようにして第7音で止めたとしても、何となく中途半端ではあるものの、曖昧に宙に浮かせたままでもさほど違和感なく、次に主音に行ってもそれほど達成感がない……とは言いすぎかもしれませんが、長音階の時ほど主音への吸引力がないことは、お分かり頂けるかと思います。

つまり、第7音が導音になるには、主音との関係を短2度にするしかありません。そして、音階がひとまとまりとして聴こえるためにも導音は重要であり、必要な音なのです。

和声短音階

導音がないなら作ってみよう、ということになったのか、第7音を変化記号によって半音上げた短音階が生まれました。

ご覧の通り、第7音と主音が短2度の関係となり、めでたく第7音は導音となることができました。これで解決、としたいところですが、ひとつ問題があります。

短音階の第6音と第7音は元々長2度だったのに、第7音が半音上がったため増2度となってしまいました。

実際に弾いて音階を確かめてみると、どうにも第6音から第7音の流れが独特です。

味わいはありますが、かなり特徴的ということで、メロディーにそのまま用いることは難しいものの、短調の和音に用いるぶんには、構成的にも響きにも問題ありません。

そこで、調の和音を考える場合に使う短音階、ということで「和声」短音階という名前になったのです。

旋律短音階

メロディー(旋律)に使う音階は、導音があることを前提で、流れが自然でなければなりません。ということで生まれたのが「旋律短音階」です。

和声短音階の第6音と第7音の違和感をなくすため、さらに第6音も半音上げるという力技を見せています。

しかしこのおかげで、音階各音の関係が長2度短2度で揃えられ、弾いてみればお分かりになる通り、音階の流れがスムーズになりました。

もっとも、自然短音階から2音も変化させるのは、必要とはいえかなり無理筋です。

元々、導音を作るための工夫でしたが、導音は次の音が主音に上がるために存在するのであり、逆にいうと主音から順に下がっていくメロディーであれば不要といえます。

ならば、せめて下がる時だけでも自然短音階にしよう、ということで、旋律短音階は上行形下行形で音が変わるのです。非常に複雑ですが、そうする意味があるのです。

下行形では、主音と第7音が長2度となり、第6音と第5音が短2度(半音)となっています。

まとめ

短音階は、長音階に比べてかなり複雑です。しかし、ただ漠然と構成を覚えるだけでなく、なぜそうなるのかを理解できれば、決して難しくはありません。

次回は、その他の「音階」について少し説明し、「調」の勉強に入ります。

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