世の中には、ちょっと変わった曲が、実はたくさんあります。
今回ご紹介するのは、“無音の曲”と“演奏時間1000年の曲”。
なにそれ、どういうこと⁉︎ 疑問どころか戸惑いさえ感じる、ちょっと不思議な曲のお話。
演奏しない⁉︎ “無音”の音楽
音楽とは“音を楽しむ”と書くように、何かしらの演奏をしたり、聴いたりすることを楽しむ娯楽です。
しかし『4分33秒』という曲だけは違います。
この曲、演奏中はずっと“無音”なんです。
その間に起こる観客たちのざわめきや話し声といった要素を楽しむ、ある種の芸術性がある音楽とも言えます。
『4分33秒』は、1952年、作曲家のジョン・ケージ氏が作曲したもので、初演の際に4分33秒の間、無音の演奏をしたことでこの名がつけられました。
全3楽章から成り、楽譜には全章に“TACET(休み)”と書かれています。
……これ、誰にでも作曲できたのでは。ちょっと悔しいのは私だけでしょうか。
演奏者は舞台に出て来てから、楽器を持ったまま何もせず過ごし、そして退場していきます。
なかなかシュールな光景です。
作曲者によるとこの曲は、無音室という音が遮られた部屋に入ったとき、自分の心臓の音などが聞こえ、完全な無音にならなかったという経験から生まれたものだそう。
“何も演奏しないこと”によって生まれる音を味わうのが、この『4分33秒』というわけです。
そうすると、この曲も“音を楽しむ”と言えるのかも……?
生きている間に聞き終わらない“長~い”音楽
ジョン・ケージ氏は、『4分33秒』だけでなく、“長い曲”も作っています。
1987年に作られた『オルガン2/ASLSP』は、フルバージョンで演奏するのに639年もかかるのだとか!
最初の1年半は無音だそうです。無音が好きなジョン。
この曲、なんと現在演奏中で、ジョン・ケージ氏が亡くなった後、2001年にドイツで演奏が始まったそう。
誰でも聴きに行くことができ、演奏途中での入退室は自由(って当たり前! だって演奏終了は2640年だもの)。
しかし世間は広かった……! 演奏に639年より長くかかる曲が存在するのです。
世界で一番長い曲は、『ロングプレイヤー』という曲です。
イギリスのロックバンド『ザ・ポーグス』の初期メンバー、ジェム・ファイナー氏の曲をベースに作られました。
演奏にかかる時間は、なんと1000年!
ここまでくると、どうやって作曲したのかが気になるところですが、この曲は20分20秒の曲をもとに、コンピュータで膨大なバリエーションを作り、切れ目なく演奏するそうです。なんかずるい。
この曲も現在演奏中です。
作曲は自由だ!
以上、ちょっと変わった無音の曲、長~い曲をご紹介しました。
生きている間に一度は聴いてみたいような、聴きたくないような……。
あなたはどうですか?
演奏会で聴くような音楽は、お堅くてちょっと構えてしまうものというイメージがありますが、実はこんな遊び心(といったら作曲者に怒られるかも?)のある曲も作られているんですね。
結局なんでもアリ⁉︎ ええ、作曲は自由です。
次に“世界で一番〇〇な曲”を作るのはあなたかもしれません……!