黒鍵しか使わないショパンの名曲【Column05】

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数々の美しい音楽を生み出し、多くの人から愛されているショパン。彼の作品の中でも特徴的な黒鍵しか使わない名曲と、あの有名なピアニストとの逸話についてご紹介します。

目次

黒鍵のエチュード

最も多くの人に知られている楽器に『ピアノ』があります。すべての学校の音楽室には、必ずピアノが置かれています。

ピアノの鍵盤はご存知の通り、白い鍵盤(7種類)黒い鍵盤(5種類)で構成されています。当然、ピアノで弾かれる曲は、白鍵と黒鍵が使用されて演奏されます。

ところが、『ピアノの詩人』として有名なショパンの作品の中に、黒鍵しか使われない曲があります。

それが『黒鍵のエチュード』です。1833年に出版された『12の練習曲作品10』の第5曲目にあたります。

黒鍵のエチュードでは、右手のメロディー(主旋律)が白鍵を一切使いません。それだけなら『珍しい曲』に過ぎませんが、黒鍵のエチュードは非常に綺麗な曲に仕上がっており、多くのプロのピアニストによってコンサートなどで演奏されています。

黒鍵のエチュードの命名

黒鍵のエチュードという曲名は実はショパンが名付けたわけではなく、作品の特徴から自然にそう呼ばれるようになりました。

周りからその曲名で呼ばれるようになった理由は、右手が黒鍵だけ(実際には第66小節の2拍目のヘ音のみ白鍵)で演奏されるからです。

ショパンも、黒鍵だけの演奏ということを意識して作曲したと言われています。

ちなみに、ショパンの作品の中でも人気を博している黒鍵のエチュードですが、ショパン自身の評価はそれほど高くなかったとされています。

単なる練習曲ではない芸術性

ショパンのエチュードは、ピアノの技術をより磨くことを目的として書かれています。ショパンのエチュードとして有名なものには、『別れの曲』『革命』などがあります。

黒鍵のエチュードも練習曲となっていますが、『ピアノ教室用の練習曲』とはまったく異なります。

単なる指を動かしたり、技術を修得したりするための曲とは違い、高度な技術を必要とすることはもちろん、優れた音楽性を求められる芸術作品となっています。

ピアノ教室用の練習曲は一度で弾ける人でも、黒鍵のエチュードをこなすには数ヶ月かかるのが一般的です。

黒鍵のエチュードは、F(ファ)の音以外はすべてフラットが6個付いている変ト長調です。

楽譜を読める人ならすぐに、「右手が難しそう」と気付くはずです。右手がずっと黒鍵の上にあるのに、あのメロディを奏でるところが、ショパンのショパンたる所以です。

また、テンポの速い曲だけに、右手だけではなく、左手のスタッカートスラーがリズムをとる上で重要になります。

スタッカートの軽快さと、スラーの美しく流れるような表現をマスターできると、曲にメリハリができます。

リストとの交流

ショパンは若くからその才能が認められ、10代後半の時点で既に地元ワルシャワでは演奏家、作曲家として名声を得ていました。

黒鍵のエチュードは、ショパンが23歳の時にパリで発表された作品ですが、既に音楽家としての地位を確立していた当時の作品になります。

実は、この黒鍵のエチュードを含む『練習曲作品10」は、『ピアノの魔術師』として一世を風靡していた1歳年下の『リスト』に贈られた作品でもあります。

ショパンの友人でもあったリストは、ショパンから『リストのようにピアノを弾きたい』と言わしめるほどの腕前を持つピアニストでした。

ちなみに、リストに贈られた練習曲作品10には、こんな逸話が残されています。

ピアノの名手として名高いリストは、どんなに難しい曲も初見で弾けると言われていましたが、ショパンの『練習曲作品10』は、一度見ただけでは上手に演奏できませんでした。

そのショックから、リストは一度雲隠れしますが、再び現れた時には完璧に演奏されました。

まとめ

黒鍵のエチュードはその名の通り、黒鍵しか使われないという珍しいピアノ曲です。

ただ、ショパンの曲だけに、華麗な響きや軽快なテンポが特徴の名曲になっており、多くのピアニストが演奏し、そしてたくさんの人に愛され続けています。

改めて、この名曲をじっくりと聴いてみてはいかがでしょうか。

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