テレビ番組などの音楽にも利用されている津軽三味線。最近は吉田兄弟など、親しみやすい洋風の楽曲も多く出てきており、注目される機会が増えています。そんな津軽三味線について、どんな楽器なのかご紹介します。
チューニングが命
ピアノだと、ドの鍵盤を押せばドの音が出ます。けれど、三味線はまずチューニングをしてからでないと弾けません。三味線を習い始めの人は、まずこのチューニングができるようになるのに時間がかかります。
そして、せっかくチューニングしても、弾いているうちに音がまたずれていくのです。基本的には一曲弾き終わったら、チューニングの確認が必要です。慣れてくると、弾きながら音の変化に気づいて直します。
いくら上手に三味線が弾けてもチューニングが出来なければ意味がありません。ですから、三味線は耳がよくないと弾けない楽器なのです。
最初のうちはチューナーを使って合わせて、ある程度音が分かるようになったらチューナーなしで弾いてみると良いでしょう。
非常に繊細な楽器
三味線は、湿気に弱い楽器です。バチでドンドンと叩く部分が皮でできています。そのため、演奏後には専用の袋に包んで保護し、ケースにしまう必要があります。練習するたびに出したりしまったりするのに少し手間がかかります。
そして、もちろん野外での演奏をするときには雨に濡れてはいけません。直射日光も良くないので、細心の注意が必要です。
反対に、寒い場所にずっと置いておくのもいけません。冬に車の中に置きっぱなし、なんてこともしてはいけません。傷むと修理に出すことになってしまうため、常に三味線への注意が必要です。
弾いていて疲れる楽器
三味線を実際に持ったことがある人は少ないかと思いますが、実はかなり重い楽器です。持って構えるだけでも、力が必要です。
また、太鼓のようにバチを激しく叩くようにして演奏し、長い曲になると10分を超えてくるので、体力も必要です。慣れてくると、バチの使い方もわかってきて、最初よりは力まずに弾けるようになります。
三味線の魅力的な部分
三味線は、同じ曲を弾いたとしても、弾く人が違うと曲の雰囲気がガラッと変わってきます。男性で力強く弾ける人、女性で力はないけれど繊細に弾ける人など、人それぞれに個性が出やすい楽器なので、誰かと同じ演奏になることはありません。
たとえば、一つの音を出すにしても、押さえている指をちょっと揺らしてみたりすると味が出ますし、そのままピンポイントで正確な音だけを出せばストレートに響く音色になります。
音が合っていないことには始まりませんが、自分らしい演奏ができる楽器と言えます。
おわりに
最近耳にする機会が増えてきた三味線には、他の楽器とは違う、三味線ならではの特徴があります。弾くのが難しい楽器と言われていますが、その分弾けるようになってくると、三味線の良さや面白さがどんどんと溢れてきます。
もし、どこかで三味線の生演奏を聴く機会があれば、一度しっかりと三味線を見て聴いてみてはいかがでしょうか。テレビから流れてくる演奏と、生で聞く音では全く違います。体に響いてくるような迫力ある音なので、魅了されるに違いありません。
そして、自分でも弾いてみたいと思ったら、いつでも挑戦してみてほしいと思います。三味線は会社を定年退職から趣味として始める人も多く、年配の奏者も多いです。歳をとってから何を始めたらいいかわからない、周りの人が若い人ばかりだと始めづらい、と思っている方にもおすすめの楽器です。
何か一つ楽器が弾けるようになりたいと思っているなら、三味線を始めてみてはいかがでしょうか。