【音大で学ぶ作曲】7時間目 レッスンから離れて見てみる作曲方法

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日常での体験や、学外での音楽活動の経験は、創作にどれぐらい良い効果をもたらすのでしょうか。また、音大で学ぶ作曲方法や理論を、学外活動でどのように生かすことができるのでしょうか。

【音大で学ぶ作曲】7時間目では、レッスンから少し離れて、そのことについて考えてみましょう!

目次

レッスンから離れて

少しレッスンから離れて、作曲科の学生の日常生活や、学外活動での作曲法について考えてみましょう。

作曲科で重要な年間行事は、作品の試演会です。そこで良い作品を試演できたかどうかによって、この一年間の評価が変わってきます。

一年間どれだけ真面目に課題に取り組んでも、試演会での出来があまり良くなければ単位がもらえず留年することもありえます。良い作品を作ることのみが評価のポイントなのです。

どんな芸術にも言えることなのですが、より良い作品を作るためには、音大で理論や作曲法を学ぶだけではなく、日常での体験が大切になりますし、創作のきっかけは体験の中で得られるものです。

たとえば、ハリエット・スミスソンへの片思いがなければ、ベルリオーズ『幻想交響曲』は存在していなかったかも知れませんし、ドヴォルザークはアメリカに行っていなければ、『新世界より』を書いていなかったかも知れません。

日常での様々な体験が創作のきっかけとなることは明らかですが、学校の外での音楽活動の経験を積むことも大切です。多くの経験を積むことは、作曲を修得するために効果的なことだからです。

役に立つスキルとは??

音大で学び修得するスキルの中で、学外での活動において一番すぐに役に立つものは、楽譜浄書のスキルです。

楽譜浄書とは、手書きの譜面をコンピュータで出版譜のようにきれいにすることで、フィナーレという浄書ソフトが有名です。シベリウスというソフトを使っている方もいますが、フィナーレを使っている学生の方が比較的多いような印象を受けます。

たとえば、頂いた作曲の依頼が締め切りの近いものでしたら、より短時間できれいな楽譜に仕上げて提出することができますし、移調やパート譜作りなどもボタンをクリックするだけですぐにできます。楽譜浄書の方法は、音大で習うこともできます。

学外での活動で生かす作曲方法

ところで、音大で学ぶ作曲方法は、学外でどれほど生かすことができるのでしょうか?

今まで述べてきたように、音大では「和声法」「楽式論」といった理論を学ぶことができ、それは自分の作品を客観的に評価する能力を養うために役に立つと紹介しました。

より直接的に、それを音大の外で生かすことができるのか考えてみましょう!

合唱を例に考えてみます。たとえば、混声合唱の作品を女声三部に編曲してほしいという依頼があります。

混声合唱とはソプラノ、アルト、テノール、バスの4パートから成る合唱の形で、女声三部とは第1ソプラノ、第2ソプラノ、アルトの3パートから成る合唱の形です。

これがなかなか大変な作業です。もともと4パートの作品を3パートに変えるということは、1つのパートを削らないといけなくなるからです。

たとえば次の譜例を、女声三部に変えるとしてみましょう(楽譜の上から順にソプラノ、アルト、テノール、バスとなっています)。

ソプラノの音域はド~高いソで、アルトの音域は低いソ~高いドと指定されている場合、さらに大変です。上の楽譜のひとつめの和音のバスは「低いレ♭」となっていて、この音はアルトで出せない音だからです。

実はその時に役に立つのが和声法の知識です。和声法によると、1番目の和音のアルトの「低いシ♭」は削っても大丈夫な音とされています。ですから、まずこの音を削ります。

そして次は、音域の問題です。この問題を解決するには、音の並びを変えなければいけません。

多くの作品ではソプラノが一番目立つ音なので、そこは変えられません。そこを変えると原曲とはかなり違った曲のような印象を受けてしまうからです。

そうすると、変えられる音は残っている「低いソ」と「低いレ♭」です。アルトでは「低いソ」を歌うことができるので、アルトのパートに「低いソ」を充てることができそうです。

残りの「低いレ♭」はオクターブ上げることによって、第2ソプラノに充てましょう。

こうなると、2番目の和音も並びが変わってきます。和声法的には次のようになります。

このように、和声法を知っていると、依頼される編曲にも役に立ちます。音大で学ぶ作曲方法や音楽理論は応用しようと考えれば、いくらでも可能性はあるのです。

まとめ

日常での体験や、学外での音楽活動の経験が、創作にどれぐらい良い効果をもたらすのか、音大で学ぶ作曲方法や理論を学外活動でどのように生かすことができるのか、ということについて考えてみました。

音大で学んだことと、音大の外で経験することが、それぞれお互いに良い効果を与え合うことが理想的な形です。

さて、作曲方法を効果的に修得するためには、実際に演奏する経験も重要です。次回は作品を演奏することによって得られる作曲方法について、ご紹介したいと思います!

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