【目指せ!小説家】第3話 小説を書く手順

連載【目指せ!小説家】第2回では、小説を構成する3つの要素である『本文』『ストーリー』『登場人物』についてご説明しました。

第3回では、小説を執筆し、完成させるまでの具体的なステップについて解説します。

はじめに

「小説を執筆」すると聞いて、どのような作業を想像しますか?

人によってそれぞれかとは思いますが、まずは「小説が完成する」という状態から逆算して、そのためにどのような工程が必要なのか、その全体像を確認していきましょう。

着想する

「小説が完成する」とはつまり、小説の本文を最後まで書き終えて、その中で筋の通った一つの物語が完結しているということです。

そのために、まずはどのような小説を書くかを決定し、そのための物語の骨子を構築し、そのうえで本文を執筆するという工程が一般的です。

これらの工程はそれぞれ、「着想」「プロット立て」「執筆」とも呼ばれます。

「着想」とはつまり、「どんなお話を、どんな風に書こうかな」というアイデア出しの部分です。この段階では小説の具体的な道筋までは未知のままですが、「それが何についての、どのような小説であるか」という部分が見出されます。

また、書きたいジャンルが決まっていない場合は、それについてもこの段階で決定されます。「よくわからないけれど、こういう場面が書きたい!」、「こういうことについて表現したい!」。こんな創作衝動も、立派な着想の一つです。

一つの劇的な場面が思い浮かんでいるのであれば、それを描くための物語を構築してみましょう。何らかのテーマが決まっているのであれば、そのテーマを表現するための物語を考えてみましょう。

着想は小説執筆の土台であり、最初のとっかかりであり、執筆の原動力となってくれます。

プロット立て

どんなお話を書くか決まったら、その具体的な道筋について考えます。

主人公は誰で、どのような事件が起きて、それはどのように解決されるのか? 物語はどこから始まり、どのようにして終わるのか?

作者自身が物語の途中で迷わなくて済むように、あらかじめ全体像を把握しておくために作られるのが「プロット」です。重要な要素である登場人物たちも、この段階で決定されていきます。

小説が持つ物語としての面白さは、このプロットをいかに練るかにかかっているといえるでしょう。

作家によっては「プロット」を作らずに、自由な想像力に任せていきなり小説を書き始める人もいます。物語がどうなるかは書きながら考えるので、この小説がどのように終わるのかは、執筆段階では作者にすらわからないというスタイルですね。

これも立派な執筆スタイルの一つではありますが、残念ながら初心者にはオススメできません。書き始めた時はいいかもしれませんが、あっという間に袋小路に迷い込んで、どうやって物語を進めればいいのかわからなくなってしまうでしょう。

「プロット」の作り方やその構造については、世界中で多くの議論がなされており、重要な著作が何冊も存在します。

プロットを作るも作らないも作家次第ですし、その作り方や構造についてもその人のスタイルがあります。しかしこの連載は、あくまで小説の書き方の「超入門」ですので、初心の方にはきちんとプロットを作る方をオススメします。

プロットの作り方なんてわからないよ、という人でも大丈夫です。代表的な考え方や手法については後に解説しますので、少しずつ学んでいきましょう。

執筆

着想段階で「どのような小説を書くか」を決定し、プロット立てによって「どのように物語が進んでいくか」を作り込みました。そこまで工程が進んだら、あとは本文を書いていくのみです。

小説本文の分量は、文庫本一冊で大体10万字程度になります。10万字の小説をどれくらいの期間で書けるかは作家の筆の速さによりますが、1日に1万字も書ければ相当な速筆であるといえるでしょう。

村上春樹氏を例に取れば、彼は一日に四百字詰め原稿用紙で10枚。つまりは4千字程度を執筆の目安にしていると語っています。

執筆段階は、小説の「本体」を完成させる工程です。

小説は文章の集合体であり、それがどのような物語かを決定するのが「着想」工程であり、それがどのような構造であるかを決定するのが「プロット立て」の工程でした。

それらを最終的に「小説」の形で表現するのが本文執筆という工程であり、ここが小説家の醍醐味であるといえます。

実際に執筆段階へと進んでみると、思ったよりもスラスラと書けてしまえるかもしれませんし、どれだけ悩んでも物語が進んでくれないことに悩むかもしれません。

執筆段階で書けなくなってしまう理由は様々であり、それはプロットの作り込みの甘さが原因かもしれませんし、そもそも執筆の体力がついていない可能性もあります。

もしくは「ライターズ・ブロック」と呼ばれる、精神的な障壁が原因かもしれませんね。これらについても追々触れていきますので、お悩みの方はそちらの項をご参照ください。

まとめ

小説を完成させるまでの、一連の工程について確認しました。これはあくまで作業工程の大枠であり、実際にはもっと詳細に手順を分解したり、工程を付け加えることができます。

しかし基本的には、「何について書くかを決めて」、「物語の流れを構築し」、「本文を書けば」、原理的には小説が完成します。

「着想」や「プロット立て」の段階でもっと詳細な作業工程を経る作家もいれば、その合間に「取材」の工程が必要な作家もいるでしょうし、「着想」と「プロット立て」をすっ飛ばして白紙に向かい、いきなり「本文執筆」から入る作家もいます。

作家の実際の執筆スタイルは様々ではありますが、小説の基本的な作業手順が、「着想」「プロット立て」「本文執筆」であることに異議を唱える人は少数でしょう。

あくまで、その工程を意図的に飛ばしたり、もしくは付け加えたりする作家もいるということに過ぎません。

そして小説の本体を構築するのは「執筆」段階といえども、その基礎であり土台となる「着想」「プロット立て」は、小説の最終的なクオリティを底上げするための非常に重要な工程です。

作業全体の流れを掴んだうえで、それぞれの工程で必要な力を少しずつ身に付けていきましょう。