【ミックス&マスタリング入門】第12回 ボーカル、キック、ベースのマスキング処理

連載【ミックス&マスタリング入門】第11回目は、キックベースのミックスについて解説しました。

今回は、定番イコライザーFabFilter「Pro-Q3」のマスキング検知機能を使用して、ボーカルキックベースの周波数の被りを処理していきます。

知識を持たないままミックスをしている初心者の方は、一度は「ミックスの飽和状態」を経験することとなりますが、被っている周波数帯域を調整することにより、その状況から抜け出すことができます。

目次

主なキックとベースを合わせる方法

EQで干渉しあっている周波数を調整

ミックスでキックベースを合わせる方法は非常に難しいですが、干渉し合っている周波数帯域を、EQを使用して調整する方法が最善です。

アマチュアの方だと「太いベース = 良いベース」という考え方を持つことがあり、無意味に太いベースを好む傾向があります。

しかし、何も処理をしないと、その太いベースの音がキックで重要な周波数帯域と被ってしまいます。

いくらキックを強調する処理をしても、音がモコモコしてこもってしまい、楽曲の土台である低音域は安定しません。

ミックス前の作業でのキックとベースの音色選びも重要ですが、今回紹介する「干渉しあっている周波数帯域をEQで調整すること」が曲の土台の低音域をしっかりと作り込むのに大切な作業となります。

サイドチェインを利用する

EDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)系の曲でよく使われますが、サイドチェインを利用して、キックの音が鳴るとベースコンプが掛かるように設定して、キックとベースを合わせる方法があります。

初心者の方には少し複雑なので今回は詳しい説明は省略しますが、キックの音声信号をベースで使用しているコンプのサイドチェインに送り、キックが鳴るとベースにコンプが掛かるように設定します。

なお、この方法を使うには、サイドチェインに対応しているコンプを使用する必要があります。

キックとベースの被っている帯域調整

FabFilter Pro-Q3をインサートする

FabFilter「Pro-Q3」は、操作しているトラックから、「Pro-Q3」がインサートされているすべてのトラックの周波数を「トラックスペクトラム機能」により確認することができます。

ベーストラックのEQ画面で説明しますが、まずは「Pro-Q3」をキックとベースにインサートしてみましょう。

インサート後に「Pro-Q3」の下部分の「Analyzer」をクリックすると、画面のようにベース以外の「Pro-Q3」がインサートされているトラックを確認することができます。

DTM DAW ミックス マスタリング FabFilter Pro-Q3 トラックスペクトラム サイドチェイン キック ベース マスキング

すでに今回は「キック(KICK)」以外にも、「VOCAL-MAIN」「SD1」「SD2」などのセンターに配置しているトラックにもインサートしていますので、キック以外のトラックも「Pro-Q3」に表示されています。

次に、キックとベースの被っている帯域調整を調整しますので、「Analyzer」に表示されている「KICK」を選択します。

被っている周波数帯域の確認

キックを選択した後に、ベーストラックの「Pro-Q3」の画面で、70Hzから120Hz付近が、赤い縦の帯状になっているのを確認することができます。

この「赤い帯状になっているところ」がキックとベースで干渉しあっている周波数帯域です。

この箇所を処理することにより、ベースとキックのそれぞれの音を鮮明にして、曲のなかで住み分けをさせることができます。

濃い赤色だけでなく「Pro-Q3」には薄い赤色も表示されますが、赤色が濃いほど周波数の被りが大きいことを意味します。

キックとベースの周波数帯域の調整

「Pro-Q3」で被っている周波数帯域の確認が終わったあとに、最もキックとベースが干渉しあっている70Hzから120Hz付近に注目して周波数を調整していきます。

やり方は簡単で、赤い帯状が強かったベースの80Hz付近をカットして、逆にキックの80Hz付近をブーストします。

たったこれだけの作業ですが、ベースとキックの音の住み分けがされます。

DTM DAW ミックス マスタリング FabFilter Pro-Q3 トラックスペクトラム サイドチェイン キック ベース 住み分け マスキング

さらに、ベースの130Hz付近をブーストして、キックの130Hz付近をカットすると、それぞれのパートが、より明確になります。

ボーカルとキック&ベースの調整

歌モノはボーカルが埋もれないようにする

マスキングの問題ではキックとベースがよく話題になりますが、ボーカルのマスキング処理も非常に重要です。

やり方はキックとベースで解説した方法と同じで、被っている周波数帯域を調整することですが、歌モノの音楽ではボーカルが埋もれないようにする必要があります。

音楽制作用ではないヘッドフォンやスピーカーで作業している方に多いのですが、音楽アップロードサイトでは、ベースラインがボーカルの邪魔をしてしまって「歌が聴きにくくなってしまっている曲」をよく耳にします。

聴きやすい歌を心がけて調整

ボーカルトラックはすでにコンプEQディレイでエフェクト処理していますが、新たに「Pro-Q3」をインサートして、「聴きやすい歌」を心がけて、キックとベースとの周波数とボリュームを調整をしていきます。

まずは周波数を調整しますが、ベース&キックと被っている箇所は「Pro-Q3」で確認しましょう。

DTM DAW ミックス マスタリング FabFilter Pro-Q3 トラックスペクトラム サイドチェイン キック ベース ボーカル マスキング

そして、低音域はキックとベースに任せるというイメージを持って、各トラックのボリューム調整も行いながら、ベース&キックと被っている帯域は、ボーカル側でカットしていきましょう。

まとめ

今回、イコライザーFabFilter「Pro-Q3」でのマスキング処理を解説しました。知っているのと知らないのとでは、ミックスで大きな違いが出ます。

初心者の方は、ミックスが飽和状態になってしまったときに、真っ先に干渉しあっている周波数帯域を確認して調整していきましょう。

次回は、スネアドラムハイハットシンバルなど金物系のミックスの解説をします。

キックとベースが土台を作り、スネアドラムとハイハットでグルーブ感を作るというイメージです。

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