管楽器を中心とした「吹奏楽」。
迫力あるサウンドや美しいハーモニーは、どんな楽器によって作り出されるのでしょうか。
使われる楽器の種類や特徴をご紹介します。
吹奏楽とは?
吹奏楽は、管楽器(金管・木管)を中心に、弦楽器や打楽器と共に演奏される音楽です。
学校の部活やマーチング、市民楽団、一部の楽器を使用した野球の試合の応援でもお馴染みですね。
吹奏楽というと、「ブラスバンド」という言葉を思い浮かべるかもしれませんが、ブラスバンドは厳密には金管楽器のみで編成されるものを指します。
吹奏楽には「ウインド・オーケストラ」という言葉が使われることが多いです。
ウインド・オーケストラは、本来は厳格な編成が決まっていますが、広い意味では吹奏楽と同義で用いられ、楽団の名前に使われることもあります。
吹奏楽で使われる楽器の種類
吹奏楽で使われる楽器は、主に管楽器(金管・木管)、弦楽器、打楽器です。
曲によって特殊な楽器が用いられることもありますが、今回は代表的な楽器をご紹介します。
最近では数万円と安価なものや、音量が心配なシーンではヘッドホンで音が聞ける電子楽器もあり、楽器を始めるハードルもグッと下がっています。
金管楽器
金管楽器とは?
「金管楽器」という名前は、真鍮(ブラスともいい、ブラスバンドという名前の由来でもあります)で作られることから生まれました。
たとえば、トランペットやトロンボーンがあります。
必ずしも金属製とは限らず、逆に、金属でできているから金管楽器ということでもありません。
金管楽器は、唇の振動を音に変えるのが特徴です。
唇を横に強く引き結び、唇の中心部分から息を吹き出すと、「ブー」という音が出ます(唇全体をブルブル震わせるのとは違います)。
これを、マウスピースという口に当てる部品を通して楽器に伝え、ピストンやレバーを押したり戻したり、トロンボーンの場合はスライドを前後することで音を出します。
吹奏楽で使われる金管楽器の種類
トランペット
金管楽器といえば、この形を思い浮かべる方も多いでしょう。
バンドの中ではメロディを担当することも多い、花形の楽器です。
ソロやジャスでも活躍します。
トロンボーン
トロンボーンはピストンやレバーではなく、スライドと呼ばれる長い可動部分を前後に動かすことによって、音程を調整します。
ホルン
音色がやわらかで、音域が広いのが特徴のひとつです。
ベル(円錐型の部分)に右手を入れ、左手でレバーを操作して演奏します。
ユーフォニアム
チューバを小さくしたような形状の楽器です。
低音パートに分類されることが多いですが、やわらかな音を活かしてメロディを担当することもあります。
チューバ
バンドのサウンドを支える低音パートを担当します。
重さが10kgほどあり、抱えるほどの、とても大きな楽器です。
木管楽器
木管楽器とは
昔は木で作られることが多かったため「木管楽器」と呼ばれています。
現在は金属で作られるものも多く、金管楽器以外の楽器を指して「木管楽器」という言葉が用いられます。
フルートやサックスは金属製ですが、木管楽器です。
息を吹き込みながら楽器に空いた穴を押さえることで音程を作り出します。
フルートのように息を直接楽器に入れるものや、サックスやクラリネットのように、リードという薄いヘラのようなものを息で振動させて楽器に伝えるものがあります。
吹奏楽で使われる木管楽器の種類
クラリネット
よく通る音色で、メロディを担当することが多いです。1枚のリードによって音を出す「シングルリード」の楽器です。
フルート
横向きに構えて演奏する楽器です。
リードはなく、息の一部を吹き込んで音を出すため音量は小さくなりますが、音域が高く澄んだ音色は美しく響きます。
オーボエ
2枚のリードで音を出す「ダブルリード」の楽器です。
音域が高く、独特の美しい音色でメロディを担当することも多いです。
ファゴット
オーボエ同様、「ダブルリード」の楽器です。
独特なやさしい音色で、低音から中音域を担当します。
サックス
ソロやジャズでも活躍し、木管楽器の花形ともいえます。
種類がたくさんあり、吹奏楽では、アルトサックス、テナーサックス、バリトンサックスが主に使用されます。
画像はアルトサックスです。
弦楽器
弦楽器とは
「弦楽器」は、楽器に張られた弦を振動させることで音を出す楽器です。
よく知られるものとしてバイオリンやギターなどがあり、吹奏楽ではコントラバスや、曲によってハープやエレキベースも使われます。
吹奏楽は管楽器が中心のため、バンドの中での弦楽器の割合はとても少ないです。
吹奏楽で使われる弦楽器の種類
コントラバス
全長が2mほどもある、とても大きな楽器です。
弦楽器ならではの音色や、弓で弦を打つなどの独特な奏法で、バンドのサウンドに深みを持たせます。
吹奏楽の中では「弦バス」と呼ばれることもあります。
打楽器
打楽器とは
「打楽器」とは、叩いたり振ったりすることによって音を出す楽器です。
小太鼓や大太鼓、シンバル、木琴など、小学校などの器楽演奏で触れたことがある方も多いのではないでしょうか。
たくさんの楽器が使われる曲では、1曲の中でそれぞれの奏者が複数の楽器を持ち替えながら演奏することもあります。
曲によって、ドラムセットも使われます。
打楽器にはとてもたくさんの種類があるため、今回は、小太鼓などの定番楽器ではなく、小物楽器を中心にご紹介します。
吹奏楽で使われる打楽器の例
ギロ
ボディのギザギザした部分をスティックでこすることで、「ギッ、ギッ」という音が出ます。
カバサ
巻きつけられた金属部分をこする(左右にずらす)ことで、「ジャッ、ジャッ」という音が出ます。
ウィンドチャイム
金属パイプがぶつかることで、キラキラとした音が出ます。
ビブラスラップ
効果音的に使われる楽器です。
「カカカカ……」という木がぶつかる音で、テレビ番組などでも使われるため、どこかで聞いたことがあるはずです。
カウベル
金属でできた本体をスティックで叩き、「カンカン!」という大きな音を出します。
ティンバレス
主にラテンミュージックで使われ、とても目立つ音を出す太鼓です。
カウベルとセットで使われることが多いです。
吹奏楽で使われる楽器の魅力
吹奏楽の最大の魅力は、迫力のあるサウンドです。
そして、しっとり聴かせる曲も、ノリノリの曲も、そのハーモニーやリズムを作り出すのは、編成されるすべての楽器です。
旋律を奏でるトランペットやサックスなどの目立つ楽器に目がいくかもしれませんが、すべての楽器にそれぞれの魅力があり、役割があります。
ぜひ、各楽器の音色に注意を向けながら、吹奏楽の曲を聞いてみてください。
美しいハーモニーやリズム、メロディーの後ろで奏でられている裏メロ、バンドを支える低音の伴奏に気づき、吹奏楽がより魅力的なものになることでしょう。
Youtubeでも素晴らしい演奏に出合えますし、機会があれば演奏会などに足を運び、その迫力あるサウンドを肌で感じてみてくださいね。