【音大で学ぶ作曲】10時間目 音大で学ぶことができた作曲方法

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【音大で学ぶ作曲】第9回では、作曲科の学生の集大成である試演会が終わってから、つまり作品が生み出されてから学ぶことのできる作曲について、ご紹介しました。

音大では、音楽理論を学び、実演することを繰り返しながら、より実践的な作曲方法を身につけていきます。

しかし一方で、作曲は独学でも学ぶこともできます。それでは、音大に行く意味とは何なのでしょうか。また、学んできたことを卒業後の作曲にどのように生かすことができるのでしょうか?

目次

音大で学べるいろいろなこと

これまでの記事の中で、音大で学べる作曲方法について紹介してきました。

音大では、和声法対位法管弦楽法のような音楽理論やアナリーゼを学ぶことができるだけでなく、音楽学の授業や演奏のレッスンを受けることができます。

そしてそれらは、本人の応用の仕方次第でいくらでも作曲に応用できるものでした。

音大に行ってみて

一番初めの記事の中で、そもそも作曲は独学で学ぶことができるのに、なぜ音大で学ぶのかということについて考えてみました。

実はこの疑問は、私が大学受験を控えている高校生の時に感じたものでした。一般的な大学に通いながらも作曲を独学で学ぶことができるのではないかと感じていた私は、結局は音大に進学し、さらに大学院まで修了しました。

ところで、多くの作曲科では卒業の直前に口頭試問という、教員との面接の試験があります。この教員は複数名いて、作曲に限らず、音楽学や演奏の教員も立ち会うことがあり、主に卒業作品について質疑応答されます。

6年間という私の音大生生活が終わろうとしている時に受けた口頭試問の中で、恩師から言われたことが印象的でした。


「あなたは6年間、音楽大学作曲を学びました。この年数は長いようで短いものであったでしょう。若いあなたにはまだ分からないかもしれませんが、この6年間の重みは歳を取った時に気づき、重要な良い意味を持つでしょう」


今ふと感じることは、一般的な大学に通っては知り合えないような人たちが、音大では自然と周りにいたということです。そのことは卒業しても重要なことであるように思えます。

とは言っても、それは多くの人脈を持つというよりも、数少なくても、ブラームスにとってのヨアヒムのように、気兼ねなく話すことができる友人がいることが重要で、それは作曲方法に決定的な意味を持つように思えます。

人との関わりの中で磨かれる作曲方法

作曲を独学で学ぶということは、理論的には可能です。しかし、音楽とは頭で理解するだけでなく、実際に音になって演奏されることが大切です。

そしてその作品を聴く人がいてはじめて、音楽となります。その実演の過程の中で、作曲家は演奏家や聴き手と会話をすることができます。

それぞれにはそれぞれの音楽に対する姿勢方向性の微妙な違いがあることを、その時に知るのです。

たとえば、ある学生にとっては、音楽の良さはその演奏テクニックの出来不出来で決まるものかも知れませんし、別のある学生にとっては音楽の良さは、その音楽の歴史的な背景から決まるのかも知れません。

さらには、実演の中で演奏家がどのようなことに苦労するのか、聴き手が作品からどのような印象を受けるのか知ることができます。

このようなことから気づくことができるのは、人によって音楽の感じ方は様々であるということです。

そのような中でも、演奏家のことや聴き手のことを想像しながら作曲をすることは大切なことです。

ただそれは、大多数の人に合わせて作曲をするべきという意味ではありません。むしろ作曲をすることによって、独自の新しいメッセージを音楽によって伝えることが大事です。

そのメッセージを的確に表現するためには、どのようにしたらそのメッセージを演奏家がちゃんと読み取ってくれるか、どのようにしたらそのメッセージを聴き手がちゃんと感じ取ってくれるか、可能な限り想像する姿勢こそが大切です。

そしてまさにこの姿勢こそが、私が音大で学べた一番重要な作曲方法であるように思えます。

そのように、作曲者のメッセージが演奏者を通じて、聴き手に伝わったときにはじめて、「音楽は世界の共通語」となるのではないでしょうか。

音大で学ぶことができた作曲方法

作曲に必要な音楽理論も、実際に音となることによって、きちんと学ぶことができます。管弦楽法に至っては、演奏者との関わりがとても大事なものでした。

作曲のレッスンを通じて、自分の作品を客観的に見つめる冷静さを身につけることができ、アナリーゼをすることによって、過去の作曲家からその作曲方法を吸収することができます。

そしてそれらを学びながら創り出した音楽が、年に一度ある試演会で演奏されます。その繰り返しの中で、より実践に基づいた作曲方法を、音大では学ぶことができます。

まさに実践に基づいた作曲方法だからこそ、卒業後に生かすことができるのだと思えます。

音大ではこのような実践の環境に恵まれていますが、独学で作曲を学ぶ場合でも、この音大で得られるメリットをどのように補うことができるのか考えてみると、様々な可能性が出てくるかも知れません。

音大で作曲を学ぶか、もしくは独学で作曲を学ぶかその選択は自由です。どちらにしても音楽に対して積極的な姿勢と取り組みが必要でしょう。

そういった取り組みの中で吸収した作曲方法が、いつの日か自分自身のオリジナリティとなり、独自の作曲方法となるのです。

皆さんもぜひ、音大で学べる作曲方法から、オリジナルな作曲方法を探してみましょう!オリジナリティとなり、独自の作曲方法となるのです。

皆さんもぜひ、音大で学べる作曲方法から、オリジナルな作曲方法を探してみましょう!

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