【ミックス&マスタリング入門】第17回 マスタリングの目的とマスタリングの準備

連載【ミックス&マスタリング入門】第16回目は、アコースティックギター&アコースティックピアノのミックスと、マスターチャンネルにインサートして曲全体を整えるトータルコンプについて解説しました。

ミックスの解説が一区切りつきましたので、今回からはマスタリング作業の解説に入り、ミックスの音圧や音質を調整するマスタリングの方法をご紹介します。

今回は、マスタリングの目的マスタリング作業の準備について解説します。

マスタリングの目的

再生環境に関係のない状態に音楽を仕上げる

ユーザーが音楽を聴く環境はイヤホン、ヘッドホン、スピーカーなど様々で、音楽を聴く機器は安価なものから高額なものまで販売されています。

そんな中で、マスタリングは再生環境を選ぶことなく、音楽を楽しむことができる状態にする大きな目的があります。

そのためにマスタリングツールを使用したり、テクニックを駆使して、2ミックスの音圧や質感を調整します。

最近では、プロアマ問わずにネット配信の音楽が当たり前のようになり、「そろそろCDで音楽を聴く時代は本格的に終焉か?」などの記事も多く目にするようになりました。

ネット配信でも再生環境を選ぶことのない状態に音楽を仕上げる必要があります。

各曲の音量差や質感の差を調整する作業

近年のマスタリングは、音量や音圧を上げることが主な目的になっていますが、複数の曲を1枚のアルバムに収録する際に、各曲の音量差や質感の差を調整する作業もマスタリングです。

現在はスマホや携帯音楽プレーヤーで、自分のお気に入りの曲を集めたプレイリストを作って音楽を聴くことが主流になり、1枚のアルバムを通して音楽を聴くことが少なくなった人も多いでしょう。

それでも、アルバムやシングルで複数の曲を収録する場合は、各曲の音量差や質感の差を、現在でも調整します。

マスタリングの音圧

他の曲よりも目立つために音圧を出す

プロが音圧を上げる目的を簡単に書くと、音圧の低い楽曲に比べるとインパクトがあり、他のアーティストの曲よりも目立つからです。

音圧重視の考えには賛否両論がありますが、アマチュアの方でも他の曲よりも目立つためにマスタリングで音圧を上げたいという方は、かなり多いと思います。

マスタリングツールを開発しているプラグインメーカーも、このニーズに応えるための製品開発に凌ぎを削っています。

ただし、マキシマイザーやリミッターなどのマスタリングツールで過剰に音を大きくすれば、2ミックスのダイナミクスが大きく失われるだけでなく、耳が痛くなってくるということは覚えておいて下さい。

音圧競争の再熱

一時期、過剰な音圧競争は収まってきた感じもありましたが、現在のマスタリングでは、またこの音圧競争が再熱してきています。

古い情報だと「音圧競争は終わった」と紹介されていますが、マスタリング環境が変わってきたこともあり、確実に市販されているCDなどでは、音圧競争時代よりも曲の音圧は上がっています。

しかし、一昔前に起こった強引に音圧を上げる競争とは違い、マスタリングツールの大きな進化により、自然な感じで音圧が上がっています。

マスタリング作業の準備

2ミックスファイルの書き出し

マスタリング作業をする前に、まずは時間を掛けて完成したミックスを、マスタリング用にステレオファイル(2ミックスファイル)として書き出します。

書き出しのやり方は第5回で解説した「CUBASEでのオーディオファイルへの変換」と同じです。

ファイルメニューの「書き出し」から「オーディオミックスダウン」を選択します。

DTM DAW ミックス マスタリング ステレオファイル 2ミックスファイル

ミックス前の作業のオーディオファイルの書き出しとは違い、新たにマスタリング用のプロジェクトを作成しますので、現在のミックスプロジェクトに書き出したオーディオファイルを読み込む必要はありません。

そのため、ファイルを書き出す前に下の画像のように「プロジェクトに追加」のチェックは外しておきましょう。

DTM DAW ミックス マスタリング ステレオファイル 2ミックスファイル

マスタリング用の新プロジェクトを立ち上げる

次に新たなマスタリング用のプロジェクトを作成してから、先程書き出した2ミックスファイルを読み込みます。

注意点として、書き出した2ミックスファイルを読み込む前に、サンプリング・レートビット解像度は、2ミックスファイルに合わせるようにしましょう。

DTM DAW ミックス マスタリング サンプリングレート ビット解像度

今回は24bit/48kHzで書き出していますので、もしマスタリング用のプロジェクトが16bit/44.1kHzになっている場合は「CUBASE」の「プロジェクト設定」で24bit/48kHzに変更しておきましょう。

尚、リファレンス曲がある場合は一緒にプロジェクトに読み込みますが、リファレンス曲のサンプリング・レートとビット解像度は気にする必要はありません。

ミックス前の準備では、フォルダー分けや色分けなど時間を掛けて行いましたが、マスタリング作業の準備は基本的にはこれで終わりです。

マスタリングのモニター環境

マスタリング時にはスタジオモニター用途のヘッドホンやスピーカーだけでなく、リスニング用のヘッドホン/イヤホンやスピーカーなども活用して、様々なモニター環境でチェックするようにしましょう。

マスタリングの目的で「マスタリングは再生環境を選ぶことなく、音楽を楽しむことができる状態にする大きな目的がある」と書きましたが、どんな再生環境で聴いても良い状態にする必要があります。

まとめ

今回はマスタリングの目的とマスタリングの作業の準備について解説しました。作業中にいろいろなモニター環境でチェックできる状態が理想的です。

次回は、そのまま作品クオリティーに直結すると言っても間違いのないマスタリングプラグインについて解説します。