【はじめての対位法】05.「1:1」と「1:2」を振り返ってみよう

対位法の理解に役立つ「楽典」のおさらいはこちら

はじめての対位法 前回の記事はこちら

対位法の基本となる「1:1」について

「1:2」までの対位法について学んできました。内容が少し複雑になってきたので、今回はこれまでの対位法の規則について、練習問題を交えながら復習したいと思います。

まず「1:1」の参考例をあげます。この譜例上にマークされている部分は対位法の規則に関わる部分です。そしてこの譜例の場合、対旋律は定旋律の上に置かれています。

譜例1

1:1 対旋律 定旋律 対位法 音楽理論

この譜例を参考にしながら「1:1」の規則を列記します。


①対旋律の冒頭の音は主音の完全1度(もしくは完全8度)か完全5度上の音。しかし対旋律が定旋律の下に置かれる場合、対旋律の冒頭の音は主音のみとなる。

②定旋律と対旋律の音程は協和音程(長・短3度、長・短6度、完全5度、8度)のみ可能。

③終止の1小節前の小節は短3度か長6度の音程のみ認められる。そしてドリア旋律とミクソリディア旋法、エオリア旋法の場合はその音階の第7音を半音上げて導音を作る。

④終止小節の音程は完全1度か完全8度のみ可能。

⑤連続5度や連続8度は禁止。


また、旋律を作る際にも規則がありました。規則の中で特に重要なものを列記します。


①跳躍進行は短6度まで(オクターヴは可能)。

②増音程や減音程の進行は不可。

③旋律の中で同じ音を頻繁に用いない(基準として4回以上の使用は不可)。

④アルペジオを頻繁に用いないこと。


それでは次の練習問題に取り組んでみましょう。次の譜例の中には対位法の規則から外れている部分があります。例を参考にしながら、規則から外れている部分を指摘しましょう。この練習問題では、定旋律は上に、対旋律は下に置かれています。

練習問題1

1:1 対旋律 定旋律 対位法 音楽理論

例:冒頭小節で対旋律が定旋律よりも下にあるのにも関わらず、主音の5度上の音になっている。


答え:
①3小節目の音程が減5度になっている。
②3小節目から4小節目にかけての対旋律の音程が増4度となっている。
③小節目から7小節目にかけて連続5度が生じている。
④11小節目の音程が完全4度(※対旋律のdをオクターヴ上げると完全4度になります。)となっている。


また、次の練習問題にも取り組んでみましょう。この譜例は対旋律として作られた旋律です。旋律の作り方として正しくない部分がありますので、指摘して間違いを説明してみましょう。

練習問題2

1:1 対旋律 定旋律 対位法 音楽理論

答え:
①全体的にhの音が多い。
②アルペジオも多い。
③5小節目から6小節目にかけての音程が増4度になっている。
④8小節目から10小節目にかけて長9度の音程になっている。
⑤旋律がクライマックス感に乏しい。

「1:2」について復習

それでは「1:2」について復習しましょう。「1:1」と同様に「1:2」でも参考例をあげます。

譜例2

1:2 対旋律 定旋律 対位法 音楽理論

「1:2」は「1:1」の規則を基本としますが、以下の規則が新たに加わります。


①強拍(1拍目)で用いることのできる音程は、「1:1」と同様に長・短3度、長・短6度、完全1度、8度、5度のみだが、弱拍(2拍目)ではさらに他の音程、つまり不協和音程(長・短2度、長・短7度、完全4度、増・減音程のこと)も「条件付きで」使用が可能。

②弱拍で不協和音程を用いる条件は次の譜例のように、強拍から弱拍へ順次進行し、さらに旋律の同じ方向に順次進行して、協和音程になる場合。


譜例3

強拍 弱拍 協和音程 不協和音程 1:2 対旋律 定旋律 対位法 音楽理論

以上の②に関しては説明が少し複雑なので譜例をあげます。たとえば次の譜例のaは可能ですが、b、c、dは不可能です。なぜでしょうか?

譜例4

強拍 弱拍 協和音程 不協和音程 1:2 対旋律 定旋律 対位法 音楽理論

bの方は1小節目の弱拍から2小節目の強拍へ進行する際に順次進行ではなく、跳躍進行になっています。cの方はさらに、弱拍から強拍へ順次進行で同じ方向に進むべきところが、逆の方向に跳躍進行で進んでいます。dの方は1小節目の強拍から弱拍へ入り、さらにその後に同じ方向へ順次進行で進行し、規則通りのように見えますが、弱拍の後に同じ方向に順次進行して協和音程に達するべきところが、不協和音程に達しています。

もちろん、弱拍で不協和音程ではなく協和音程を用いる場合は条件なしで使用可能です。

この弱拍について次の練習問題に取り組みながら習得しましょう。次の譜例の中には弱拍を正しく扱っているものと、規則から外れて扱っているものがあります。まず、正しく弱拍を作ることができているものを選び出し、規則から外れているものはどの点が規則から外れているのか説明してみましょう。

練習問題3

強拍 弱拍 協和音程 不協和音程 1:2 対旋律 定旋律 対位法 音楽理論

答え:
規則通りに作られているものは、a、c、d、e、h。
bは2小節目の強拍に順次進行ではなく、跳躍進行で進んでいる。
fは2小節目の強拍で協和音程に達するべきところが、不協和音程に達している。
gは1小節目の弱拍の不協和音程に順次進行ではなく跳躍進行で進んでいる。
iは1小節目から2小節目の弱拍に入る時に、1小節目の強拍から弱拍へと進む方向(この場合は上行)と同じ方向ではなく、逆の方向(下行)に進んでいる。

シンコペーションの使い方

シンコペーションの扱い方についても学びました。次の譜例のように、ある小節の弱拍からその次の小節の強拍にかけてタイがかかる時にシンコペーションが作られます。

譜例5

シンコペーション 強拍 弱拍 1:2 対旋律 定旋律 対位法 音楽理論

シンコペーションはこのように、シンコペーションの始まり①にあたる音は協和音程になり、シンコペーションの終わり②にあたる音は不協和音程にならなければいけません。さらにシンコペーションの終わりの音②は、その次の音③に協和音程で解決する必要があります。

シンコペーションについても譜例を見ながら習得しましょう。次の譜例中のaは正しいシンコペーションですが、bとcは正しくないものです。

譜例6

シンコペーション 強拍 弱拍 1:2 対旋律 定旋律 対位法 音楽理論

bはシンコペーションの始まりの音が協和音程ではなく、不協和音程になっています。cはシンコペーションが終わり、協和音程に解決すべき音が不協和音程になっています。

それでは最後に課題に取り組みましょう。次の定旋律に「1:1」と「1:2」の対旋律を付けてみましょう。対旋律を置く場所は定旋律の上か下かどちらかを選びましょう。

課題

1:1 1:2 対旋律 定旋律 対位法 音楽理論

前回の課題の解答例も載せます。自分自身の解答と比較し研究してみましょう。

課題1-1(対旋律は上に置かれています。)

1:2 対旋律 定旋律 対位法 音楽理論

課題1-2(対旋律は下に置かれています。)

1:2 対旋律 定旋律 対位法 音楽理論

まとめ

今回はこれまでの対位法の規則について多めの練習問題を交えながら復習しました。これらの練習問題のように、正しい対位法と正しくない対位法を区別しながら間違いについて説明する練習はとても効果的です。

間違いについて説明するだけではなく、たとえば自分自身が作った解答のどの点で魅力的に作ることができたのか説明することも良い練習方法です。一つの課題について様々な方向から取り組んで対位法を習得していきましょう。