※この記事は、連載【はじめての和声法】と【はじめての対位法】に共通する導入部分です。
ドレミはどこの言葉?
前回の記事では音の名前について学びました。
ところで、ドレミファソラシってどこの言葉なのでしょうか? 英語? フランス語? ……実は、イタリア語なのです。
音大やクラシックの音楽家の間では、イタリア語ではなくドイツ語での読み方を使うことが多いです。今回はまず、ドイツ語読みの音名について学んでみましょう。
ドイツ語の音名に慣れてみよう
ドレミはそれぞれ、ドイツ語では次のように読みます。
注意点としては、英語ではAは「エー」と発音しますが、「エー」はドイツ語ではEになるということ。そして、ラはAでドはCなので、その間のシはBになりそうなところですが、Hになります。
シャープが付くと次のようになります。
それぞれの音名に「is」が付くと考えると良いでしょう。
フラットが付くと次のようになります。
フラットの場合、それぞれの音名に「es」が付くと考えるのですが、ミ♭はEesではなくEsに、ラ♭はAesではなくAsに、そしてシ♭はHesではなくBになります。
ダブルシャープ(以後ダブルシャープは「*」で示します。)やダブルフラット(以後ダブルフラットは「♭♭」で示します。)が付くと次のようになります。
それぞれシャープやフラットの付いた音名に、さらに「is」や「es」を付けると考えて良いのですが、ダブルフラットの付いたラはAsesかAsasの2つの読み方が、ダブルフラットの付いたシはHesesかBB、Besの3つの読み方があることに注意しましょう。
今後はドイツ語読みの音名で和声法や対位法について解説しますので、慣れるようにしましょう。
それではドイツ語音名についての練習問題を出しますので、それぞれの音名をドイツ語読み音名で書いてみましょう。
練習問題
答え:(1)H (2)Eis (3)F (4)Ges (5)B (6)Ais (7)E (8)Es (9)C (10)Dis (11)Ces (12)A (13)Fis (14)D (15)Cis (16)Gis (17)Des (18)G (19)His (20)As (21)Fes (22)D
音の距離を測ってみる
音名について慣れたら、次は「音程」について学んでみましょう。音程とは、音と音同士の距離のことです。
音同士の距離はピアノの鍵盤で考えてみると分かりやすいでしょう。ピアノの端の一番低い音と一番高い音は大きく離れていますし、隣り合う2つの音は近い距離です。
このように音と音にも距離があります。そして、その2音の間にどれくらいの音を挟んでいるのかによって、音程の数が決まります。
物の長さも1cmや5mなどと数値化できるように、音と音の距離である音程も数値化できるのです。ただ音程の場合、cmやmなどの単位ではなく、「度」という単位を用います。
では、どのように数値化できるのでしょうか。次の譜例を見てみましょう。
譜例1
譜例の①の音はCで、②の音はFです。楽譜上には書かれていませんが、このCとFの間にはDとEの2音があります。
①のCから②のFまで両方の音を含めて数えてみましょう。数えてみると、CDEFの4つの音があることがわかります。
譜例2
そうなると、この①と②の音同士の音程は4度ということになります。慣れるために時間のかかることなので、もう少し例を見てみましょう。
譜例3
この譜例では①の音がDで、②の音がHです。この場合のこの2音間の音程はどのようになるのでしょうか。
①のDから②のHまでに含まれる音の数を数えてみます。DEFGAHの6つの音があることになります。先にも述べたように、①のDと②のHも数に含めることに注意しましょう。①から②までに6つの音があるので、この2音間の音程は6度となります。
それでは次の譜例を見てみましょう。
譜例4
この譜例では、①の音は高いEで、②は低いEです。先ほどの2つの例では、低い音から高い音への距離で、この例では高い音から低い音への距離ですが、考え方は全く同じです。この①から②までいくつの音があるのか数えてみます。
譜例5
譜例のように、EDCHAGFEと8つの音があることになりますので、この音程は8度となります。
ところで「8度」は音程の1セットのようなものです。この8度の音程のことを1オクターヴといい、1まとまりで考えることができます。次の譜例の場合だと、15度もしくは2オクターヴの音程であると言えます。
譜例6
次の譜例ではどうでしょうか。
譜例7
この譜例だと、2音は縦に重なっています。ちなみに、このように2つ以上の音が重なった形を和音と呼びます。和音の場合も音程の考え方は同じです。下の音から数えてみると、CDEFGAHCDEと10個の音があるので10度であるといえます。
ただ、先に述べたように、8度は1オクターヴです。このCと高いEの2音の間には高いCが含まれていて、この高いCはその下のCと1オクターヴを成します。そしてこの高いCから高いEまではCDEの3音があります。つまり、10度の音程だと呼ぶことも、1オクターヴと3度の音程だと呼ぶことも可能です。
譜例8
最後に。音程についての課題を出します。それぞれの和音の音程が何度なのか記入してみましょう。
課題2
また、前回の記事で出した課題1の答えも載せます。答え合わせをして、間違えているところは復習してみましょう。
課題1答え
まとめ
今回はドイツ語の音名と音程について学んでみました。ドイツ語音名は今後も使うので、慣れるように頑張ってみましょう。音程は和声法や対位法を理解するための重要なことなので、復習をして慣れることをお勧めします。
ところで、音程にはさらに細かい分類があります。たとえば、同じ4度でも「完全」4度や「増」4度など、いろいろな4度がありますし、同じ6度でも「長」6度や「短」6度など、いろいろな6度があります。
たとえば同じ人間でも、活発な人なのかおとなしい人なのか、もしくは怒りっぽい人なのかといったように、それぞれ性格があります。度もそれと同じように、細かい性格の違いがあるのです。
次回は、さらに細かい音程の分け方について学んでみましょう。