【はじめての和声法】01.和声法への第一歩

和声法の理解に役立つ「楽典」のおさらいはこちら

目次

和声法を感じてみる

「音楽理論」というと、難しそうな印象を抱くのではないでしょうか。音楽は理論で語るものではなく、感じて楽しむものだと言って、音楽理論という言葉そのものから拒否感を感じる方もいるのかもしれません。

少なくとも日本において、音楽は感じて楽しむものであるという音楽教育が行われてきました。なので、音楽理論という言葉からネガティブな印象を受ける方が多いのも無理はありません。

しかしながら、理論とは必ずしも頭だけで作り上げられた冷たいものではありません。ある理論の背景には、感覚による裏付けがあるのです。

和声法について有名な例を一つあげましょう。そもそも音楽理論の一つである和声法とは、和音の作り方や繋がり方に関する理論だと考えてください。それはよくハーモニーと訳されます。

和音同士の繋がりとして有名なのは次の例です。ぜひピアノで弾いてみてください。

譜例1

ハーモニー トニカ ドミナンテ 和声法 音楽理論

どこかで聞き覚えがないでしょうか? これは、小学校や中学校の音楽の授業や音楽会などで、お辞儀をする時の音楽です。

①と③の和音はCとE、Gから出来ているので同じ和音です。②の和音はGとH、Dです。これは①、③とは違う音も含まれているので別の和音です。

和声法では①、③の和音はトニカと呼ばれるもので、②の和音はドミナンテと呼ばれます。ドミナンテはトニカに進もうとする機能を持ちます。試しに先ほどの譜例1をもう一度弾いた後に、次の譜例を弾いてみましょう。

譜例2

ハーモニー トニカ ドミナンテ 和声法 音楽理論

トニカである③の和音がないので、どこか落ち着かない印象を受けないでしょうか? このように和音や音から受ける印象を基に、和声法は成り立っています。

和声法はローカルな法則?

和声法が成立したのは、16世紀から18世紀のヨーロッパです。つまり、ある限定された時代、限定された地方の、さらにはその中でもある程度知識人とされた人々の、音に対する感覚を基に成り立っているものが和声法です。

そういった限定的なもの、つまりローカルなものであるのにも関わらず、和声法を学ぶということは、作曲にとってとても重要なのです。

なぜなら、この16世紀から18世紀のヨーロッパからはバッハやベートーヴェン、シューマンなど多くの有名な作曲家が出て、その作曲家たちは現代の人々にも大きな影響を与え続けているからです。

和声法を学ぶということは、そのような作曲家たちの感覚に近づくことなのです。そして、和声法とはローカルなものではなく、もはや普遍的なものであると、後世の多くの音楽家たちは考えてきたのです。

和声法を学ぶために

さて、和声法を学ぶ前に覚えておくことがいくつかあります。それを確認しましょう。

まず、和声法では4つの声部を用います。声部とはパートのことで、皆さんも小中学校の合唱で、パートに分かれて歌ったたりした経験があるのではないでしょうか?

たとえば男性は女性よりも声が低いため、男女でパートが分かれることがあります。そのようなパートが4つあるのです。そしてその4つのパートは、高い音から低い音にかけて、ソプラノ、アルト、テノール、バスと名付けられます。次の譜例を見てみましょう。

譜例3

ト音譜表 へ音譜表 大譜表 声部 パート ソプラノ アルト テノール バス 和声法 音楽理論

この譜例は、ト音記号が用いられているト音譜表、ヘ音記号が用いられているヘ音譜表から成り立っている大譜表と呼ばれているものです。

ト音譜表中の音の内、音符の棒が上向きの方はソプラノ、下向きの方はアルトで、ヘ音譜表中の音符の棒が上向きの方はテノール、下向きの方はバスとなります。

譜例4

ト音譜表 へ音譜表 大譜表 声部 パート ソプラノ アルト テノール バス 和声法 音楽理論

さて、それぞれのパートには音域と呼ばれるものがあります。音域とは、そのパートが音を出すことのできる高さの範囲のことです。例えば、ソプラノパートの音域は次の通りです。

譜例5
ソプラノの音域

ソプラノ 音域 和声法 音楽理論

この音域の中でのみ、ソプラノパートは演奏することができますので、たとえば次の音はソプラノパートでは演奏することができません。

譜例6

ソプラノ 音域 和声法 音楽理論

アルトやテノール、バスの音域は次の通りです。

譜例7
アルトの音域

アルト 音域 和声法 音楽理論

テノールの音域

テノール 音域 和声法 音楽理論

バスの音域

バス 音域 和声法 音楽理論

ところで、ある音が別の音に変わることを音楽理論では「進行」と呼びます。進行にもいくつかの種類があります。たとえば順次進行跳躍進行というものがあります。

順次進行とは、ある音が2度上、もしくは下の音に進むことです。たとえば次の譜例のような進行です。

譜例8

順次進行 進行 和声法 音楽理論

跳躍進行とは、ある音がその音から3度以上離れた音に進むことをいいます。

譜例9

跳躍進行 進行 和声法 音楽理論

ある音が隣り合う別の音に進めば順次進行、そうではなく離れた音に進めば跳躍進行です。

さて、2つの声部同士の進行の仕方も様々で、例えばある2つの声部が同じ方向に進行すれば、それは並進行と呼ばれます。

その際、それぞれの声部の進行が順次であるのか跳躍であるのかということは関係ありません。あくまで進行の方向が問題で、それが同じ方向であれば並進行であるということになります。

譜例10

並進行 声部 順次進行 跳躍進行 進行 和声法 音楽理論

逆に、2つの声部がお互いに反対の方向に進行すれば、反進行と呼ばれます。

譜例11

反進行 声部 順次進行 跳躍進行 進行 和声法 音楽理論

また、斜進行と呼ばれるものがあります。斜進行では、2つの声部のうちのある声部は、音の進行の際に音が変わることなく同じ音高に留まり、もう一つ声部は別の音に進行します。

例えば次のようなものが斜進行です。アルトのGは変わることなく、次の音もGとなっています。

譜例12

斜進行 声部 順次進行 跳躍進行 進行 和声法 音楽理論

和声法の教則本

ひとまず和声法の導入のための知識を紹介したところで、この連載でも参考にしている教本を紹介したいと思います。これらの教本で得られる知識を元に、これから和声法について解説していく予定です。

なお、複数の著者によって書かれている本は代表者のみ記述します。今回は思い出せる限り記述しますが、他に教本がありましたら、その都度紹介します。

和声 理論と実習 新しい和声 理論と聴感覚の統合 和製の原理と実習 大作曲家の和声 和声の歴史 教本 和声法 音楽理論

まとめ

さて、今回は和声法の学習の前に必要なことについて学びました。それぞれのパートの音域について、そして進行について。また、和声法がある特定の時代に生まれ出たものであるのにもかかわらず、多くの音楽家が普遍的なものであると考えてきたことも重要なことです。

そしてなによりも和声法は感じるものであるということを忘れてはいけません。これからの解説の中では譜例を多く出していきますので、ぜひピアノで弾きながら音を確認してみてください。そうすることによって、和声法は本当に身につくことでしょう。

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