【はじめての対位法】07.「自由な」対位法への導入

対位法の理解に役立つ「楽典」のおさらいはこちら

はじめての対位法 前回の記事はこちら

目次

シンコペーションのみを使った対位法

以前の記事の中でシンコペーションの方法について紹介しました。今回はシンコペーションの扱い方を集中的に習得するために、対旋律をシンコペーションで作る課題に取り組んでみましょう。その前にシンコペーションの扱い方について復習してみます。次のようなルールがありました。

・ある小節の弱拍①から、その次の小節の強拍②にシンコペーションがかかるとき、弱拍①は協和音程で、強拍②は不協和音程になる。そして強拍②はその次の弱拍③に順次進行することによって協和音程に解決しなければいけない。

つまり、これまでのシンコペーションでは、次のようにシンコペーションのかかる小節の強拍は不協和音程にならなければいけませんでした。

譜例1

シンコペーション 強拍 弱拍 不協和音程 協和音程 順次進行 解決 対位法 音楽理論

そしてこのシンコペーションは順次進行することで協和音程に解決しなければいけません。

譜例2

シンコペーション 強拍 弱拍 不協和音程 協和音程 順次進行 解決 対位法 音楽理論

しかしこれからのシンコペーションでは、シンコペーションのかかる小節の強拍は必ずしも不協和音程ではなく、協和音程であっても可能であるということになります。なので先ほどの譜例1を次のようにしても良いです。

譜例3

シンコペーション 強拍 弱拍 不協和音程 協和音程 順次進行 解決 対位法 音楽理論

そしてこの場合は、シンコペーションのかかる強拍の音程が協和音程であるため、解決は必要ありません。つまり必ずしも順次進行することはなく、規則から外れない限りは好きな音に進行できます。

譜例4

シンコペーション 強拍 弱拍 不協和音程 協和音程 順次進行 解決 対位法 音楽理論

ここで練習として次の問題に取り組んでみましょう。この譜例の対旋律には、最後とその一つ前の音のみ書かれています。書かれていない部分に音を埋めてみましょう。なおこの対位法は「1:2」で、全てシンコペーションで書かなければいけません。

練習問題1

シンコペーション 強拍 弱拍 不協和音程 協和音程 順次進行 解決 対位法 音楽理論

解答例

シンコペーション 強拍 弱拍 不協和音程 協和音程 順次進行 解決 対位法 音楽理論

シンコペーションを集中的に学ぶ課題では、次のように1、2回はシンコペーションを中断することも可能です。

譜例5

シンコペーション 強拍 弱拍 不協和音程 協和音程 順次進行 解決 対位法 音楽理論

それでは課題に取り組みましょう。次の定旋律の上に「1:2」のシンコペーションで成り立つ対旋律を付けてみましょう。

課題1

シンコペーション 強拍 弱拍 不協和音程 協和音程 順次進行 解決 対位法 音楽理論

「自由」に近づくためのリズムのルール

さてここまで「1:1」、「1:2」、そして「1:4」と対位法の練習を進めてきましたが、次回からは「自由対位法(もしくは華麗対位法とも呼ばれます)」に取り組みます。

全音符で書かれている定旋律のそれぞれの音符に、「1:1」では全音符が1つずつ、「1:2」では二分音符が2つずつ、「1:4」では四分音符が4つずつ付けて対旋律を作りました。

譜例6

1:1

自由対位法 華麗対位法 1:1 1:2 1:4 定旋律 対位法 音楽理論

1:2

自由対位法 華麗対位法 1:1 1:2 1:4 定旋律 対位法 音楽理論

1:4

自由対位法 華麗対位法 1:1 1:2 1:4 定旋律 対位法 音楽理論

それが自由対位法では次のようにリズムが「自由」になります。

譜例7

自由対位法 華麗対位法 1:1 1:2 1:4 定旋律 対位法 音楽理論

「1:1」から「1:4」までのリズムを使うことができます。自由とは言っても西洋音楽として「良い」リズムがあります。次の2つの例を見てみましょう。

譜例8

自由対位法 華麗対位法 1:1 1:2 1:4 定旋律 対位法 音楽理論

西洋音楽では②よりも①の方が良いとされます。つまり小節の中で、より短い音符(四分音符)がより長い音符(二分音符以上)よりも後に置かれます。たとえば次のような場合も同様に①の方が良いとされます。

譜例9

自由対位法 華麗対位法 1:1 1:2 1:4 定旋律 対位法 音楽理論

譜例8と譜例9の②のリズムは、西洋音楽よりも民族的な音楽に多く見られます。しかしこのようなリズムでも、そのリズムが出てくる小節の前小節の3拍目と4拍目に短い音符が出ていれば使用可能です。たとえば次のような場合です。

譜例10

自由対位法 華麗対位法 1:1 1:2 1:4 定旋律 対位法 音楽理論

しかし次のような場合だと前小節の3~4拍目が長い音符になっていますので、その次の小節を短い音符で始めることができません。

譜例11

自由対位法 華麗対位法 1:1 1:2 1:4 定旋律 対位法 音楽理論

また例外的に次のようなリズムは良いものとされます。つまり四分音符が2つ続いた後に二分音符でシンコペーションされる場合です。このリズムの形のことを『対位法』(池内友次郎著)では「非常に優美な動律である。」(動律とはリズムのこと)と述べています。

譜例12

シンコペーション 自由対位法 華麗対位法 1:1 1:2 1:4 定旋律 対位法 音楽理論

また、自由対位法では八分音符も扱うことができます。ただ、その使用は2拍目と4拍目のみに限定されています。また順次進行で使わなければいけません。なので次のような場合は認められません。

譜例13

自由対位法 華麗対位法 1:1 1:2 1:4 定旋律 対位法 音楽理論

リズムは単調にならないように気をつけなければいけません。たとえば次のような例だと少しつまらない印象を受けます。

譜例13

自由対位法 華麗対位法 1:1 1:2 1:4 定旋律 対位法 音楽理論

しかしこの例を次のように直してみると良くなります。

譜例14

自由対位法 華麗対位法 1:1 1:2 1:4 定旋律 対位法 音楽理論

さて、自由対位法のリズムについて練習問題に取り組んでみましょう。次の譜例の中で正しく書かれているものとそうでないものを分けてみて、正しくないものがなぜ正しくないのか説明しましょう。

練習問題2

自由対位法 華麗対位法 1:1 1:2 1:4 定旋律 対位法 音楽理論

答え:
正しく書かれているものは①④⑥⑦⑧⑩⑫⑭。

②は八分音符が3拍目に使われている。正しくは2拍目か4拍目になければいけない。

③は2小節目のリズムが短い音符から始まっている。この場合はその前の小節の3~4拍に同様に短い音符がなければならない。

⑤は同じリズム形が4回続いている。同じリズム形が3回以上続くと少しくどい印象を与える。

⑨は短い音符からいきなり始まっているため不適切。

⑪は2小節目が短い音符から始まっているが、その前の小節の3~4拍が長い音符になっている。

⑬も2小節目が短い音符で始まっているが、その前の小節が長い音符で成り立っている。

⑮は2拍目で八分音符が使用されているが、順次進行ではなく跳躍進行になっている。

試しに以上の②③⑤⑨⑪⑬⑮を正しく書き直すと次のようになります。

自由対位法 華麗対位法 1:1 1:2 1:4 定旋律 対位法 音楽理論

それでは最後にもう一つ課題を出します。次の定旋律の下に「1:1」と「1:2」、「1:4」の対旋律を付けてみましょう。

課題2

1:1 1:2 1:4 対旋律 対位法 音楽理論

また前回の課題の解答例を2つ(対旋律が定旋律の上に置かれているものと下に置かれているもの)を載せます。自分自身の解答と比較してみましょう。

前回解答例

1:4 対旋律 対位法 音楽理論

まとめ

今回はシンコペーションによる対位法と自由対位法におけるリズムについて学びました。シンコペーションに関するこれまでの規則をまとめると次のようになります。

シンコペーションのかかる拍が、

①不協和音程である場合は、その不協和音程は順次進行することによって協和音程に解決する。

②協和音程である場合は、順次進行も跳躍進行も可能。


リズムに関しては次のような規則がありました。

・基本的に、1~2拍目には二分音符以上の長い音符、3~4拍目には四分音符が置かれる。

・しかし、前の小節の3~4拍目に四分音符が使われていれば、四分音符を1~2拍目に置くことができる。

・例外的に、四分音符が2つ続いた後に二分音符でシンコペーションされる場合は、短い音符(四分音符)を1~2拍目に置くことができる。

・2拍目と4拍目に八分音符を置くことができる。しかし、順次進行で使わなければいけない。


次回からは自由対位法に取り組みます。自由対位法では今回学んだ「シンコペーション」と「リズム」がとても重要な要素になりますので、しっかり復習して身につけましょう。

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